Q. 日本語教師に興味があり、進路として真剣に考えています。資格はいろいろありますが、一番安い資格はどれでしょうか。資格取得にかかる費用を概算でもいいので教えてください。


A. 以下、資格取得にかかる費用順に例を挙げていきますので、ご参考にしてください。

 0円:無料

 無料 その1

そもそも日本語教師には国家資格や国際認定資格はありませんので、日本語教師と自称すれば、誰でも今すぐなれる、というのがまず基礎的なところです。

海外、特にアジアでは四大卒という学歴さえクリアしていれば、無資格でも日本語教師としての就労ビザが発給される国もあります。

日本国内においても、私設の語学スクールや日本語教室、学習塾などに勤務したり、自分で開設して教える場合は、資格の拘束はありません(採用者の判断基準次第)。
さらに家庭教師のような個人チューターで教えたり、オンラインで教えたりする分には、無資格でも問題ありません(資格不問)。誰でも今すぐに始められます。あとはご自身の能力次第です。実際、そのような形で日本国内外で日本語教師をされていらっしゃる方もいます。

但し、個人で集客する(生徒を集める)わけですから、他人を惹きつける魅力(資格や経歴など)は必要となりますし、日本語ができない人たちを集めるわけですから、当然、その人たちの国の言語を使って集めなければならず、英語圏の人々を集めるには英語、中国なら中国語、韓国なら韓国語などがある程度できないと集客さえままならないでしょう。

また、ネットで集客するには相応のITリテラシーやツテ(ネットワーク)作りも重要ですので、その方面での人脈やコミュニケーション能力も問われます。

 無料 その2 無料の日本語教師養成講座

 求職者支援職業訓練(ハローワーク経由)

無料(タダ)の資格講座雇用保険に加入していた失業者限定等、一定の諸条件を満たす必要がありますが、求職者支援の職業訓練の日本語教師養成コースは原則、無料で受講できます。受講費用は税金があてがわれるため無料または教材費実費数千円程度のみ自己負担形という形が一般的です。
但し、誰でも受講できるというわけではなく、定員に対しての選考があり、選考基準は各職安により異なり、また、講座自体をすべてのハローワーク(職安)でおこなっているわけではありません。

内容は、職安から民間の日本語教師養成講座の学校に外注する形態(申込み手続きをハローワークで行い、後は民間の講座で受講する形態)が一般的です。または民間の養成講座の講師がハローワークの建物へ出向で教える形態もあります。
よって、講座の内容自体は、「420時間」と記載があるコースについては、基本的に民間の日本語教師養成講座と内容や扱いは同じです。

【学歴注意】 法務省告示の日本語教育機関(法務省告示機関)で働きたい場合は、いくらこの420時間養成講座を修了しても、四大卒以上の学歴がないと、日本語教師の有資格者とはなりません
四大卒以上+文化庁届出受理の日本語教師養成420時間講座修了
との規定(法務省の新基準)があるためです。

日本語教師という職業の特性上、職業訓練の養成講座も、受講生は圧倒的に女性が多く、また、海外駐在や留学経験者、外国語ができる人/外国語を勉強していた人が受講生に多い傾向があります。

民間では基本的にお金を払えば誰でも受講できるのに対し、求職者職業訓練の養成講座は、応募が殺到し倍率が高くなる傾向があります。講座によっては教材実費等、雑費がかかる場合あり。
また、自治体によって実施諸条件は異なるので、詳細は最寄の管轄ハローワークに確認のこと。

 無料 その3 無料にする方法

上記の雇用保険等以外にも、確定申告での給与所得者の特定支出控除(職務に直接必要な資格取得費)などを利用して、養成講座の受講料を無料(自己負担額無し)または控除にして講座を受講している方もいらっしゃいます。詳しくは「無料で日本語教師養成講座を受講する方法」をご参照ください。

 11,000円

無資格0円(無料)でなる方法の次に、日本語教師の「有資格者」*になる方法として費用が安いと考えられるのが、独学で勉強して日本語教育能力検定試験に合格することです。この検定試験の受験料が10,600円で、願書が400円です(当頁アップ時現在)。
※2019年から受験料は10,800円に値上げ予定。

友人・知人らから、市販の検定試験の問題集や参考書などを譲り受けて独学にて合格すれば、11000円程度でいわゆる日本語教師の「有資格者」*となることが可能です。この検定合格率などは検定試験詳細をご参照ください。

*・・・日本語教師「有資格者」とは、こちらの日本語教員資格ガイドラインなどで指針されてきた、

  1. 日本語教育能力検定試験に合格
  2. 日本語教師養成420時間講座修了
  3. 大学で日本語(教育)を専攻または副専攻

といった「資格」のことを指し、よく求人で上記3つのうち「いずれかに該当する者」が掲げられています。

独学する場合のコツは、「検定に合格するための本」などで、まずは試験の全体像をつかむことです。書籍を買い揃えても、トータルで2,3万円以内には収まるでしょう。関連書籍はネットのamazonなどでも古本が1円(+送料250円)などでも入手できる場合があります。→参考:独学10ヶ月での合格体験記

よくネット上の質問サイトなどで散見しますが、何も調べず矢継ぎ早に安易に質問するような人は、独学に向いていません。安易に質問しないで、自分なりによく考えて調べて、自ら答えを導きだせる人は、独学に向いています。
まずはガイドブックで全体像をつかみ、次に過去問を解いてみて試験の感覚をつかみ、自分が一番ピンと来なかったところが弱点ですので、その弱点分野の参考書を仕入れて勉強していくのがコツです。独学でスランプに陥った場合は、まずは弱点分野のことは一旦忘れて、自分が得意な分野だけ解いて自信を取り戻すことで気分転換になります。全体像把握→個別分野点検→また全体像把握・・・の「森を見て木を見て、また森を見る」反復学習が大切です。

それでも検定の独学が不安な場合は、検定対策にしぼったNAFLの日本語教師養成プログラム(10万円程度)などが検定合格用の講座として定評があります。

尚、日本語学校へ実施したアンケート結果に基づく「採用で重視するポイントランキング」では、日本語教育能力検定試験合格よりも、次に述べる「420時間の養成講座」修了のほうが、資格としての評価は高い(採用担当者は検定合格より養成講座修了のほうを重要視している)結果となっています。(「日本語教師になるための学校ガイド2017」より)

 14万円~(目安)

上述 日本語教員資格ガイドラインなどの指針にもあるように、検定試験合格に次いで日本語教師の「資格」として一般的かつ現実的なのが、「420時間」の日本語教師養成講座を修了することです。

講座を受講する「420時間講座」にもいろいろあり*、自宅で受講できるこちらの日本語教師養成講座420時間は、申込み時の為替にもよりますが、およそ15万円程度(当頁更新現在;変動しても概ね14万~16万円台)の「420時間」としては格安な費用で修了できます。

「420時間」の学習内容は、文化庁の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」のシラバスに基づいていることを一般的に指し、それなりの学習量はありますが、早い方(できる方)で半年ほど、通常は7,8ヶ月~1年弱程度で修了する方が多いです。

日本語教育能力検定試験対策も含まれた420時間講座なので、検定試験受験のための保険、または逆に420時間修了の補足の意味での検定受験、といった「念には念を」の保険的な意味合いで受講する、といった講座の使い方もあります。

もし実習などの点で不安な場合は、お近くの短期の簡易日本語教師養成講座(0円~10万円程度)などを受講すれば、併せても25万円程度でおさえられます。他にもお近くの日本語教室などで併せてボランティアなどをして経験を積む、といった方法も格安手段の1つとしてあります。

*・・・尚、「法務省告示の日本語教育機関」で働きたい場合は、次に述べるような文化庁認定の420時間講座である必要があります。

 30万円~70万円

日本国内または海外の通学の420時間の日本語教師養成講座は、千差万別ですが、安いところで30-40万円程度、高いところで50-70万円程度かかります。→[この日本語教師養成講座を一覧比較・費用や認定など]

※注意点としては、「法務省告示の日本語教育機関」(日本国内の法務省告示校など)で働く場合は、420時間講座修了者には併せて四大卒(学士)であることが求められている点です。四大卒に満たない人は、例え文化庁認定の講座を修了しても法務省告示機関の応募資格を満たせません。

海外の日本語教師養成講座には一見安く見えるところもありますが、実際は渡航費や現地滞在費などが別途かかりますので、結局、日本で通学で受講するよりも総費用が高くついてしまう場合があります。
また、海外の講座は日本の文化庁の届出審査・認定の対象外なので、例えそれが3ヶ月通学の420時間であっても認められず、修了しても「法務省告示の日本語教育機関」で働こうとした場合、その修了証は資格として通用しません(法務省の新基準を満たさない、ということです)。

いずれの通学の日本語教師養成講座も、上記の「文化庁のシラバス」に準拠している学校が多いため、内容的には基本的にはどこも同じです。あとは長丁場になりますので、物理的に通学がしやすいところ、そして自身と学校の相性次第で選ぶとよいでしょう。

ただ、通学講座に関しては、どうしても高額な費用となってしまうため、少しでも学校と相性が悪かったり、疑問に思い始めてしまうとトラブルになりやすい傾向がありますので、通学する場合の学校選びは慎重には慎重を重ねて、十分に検討しつくしてから、満を持してから入学することを推奨します。

稀に日本語教師として適性がわからないまま、安易に夢と願望だけで養成講座に通い始め、後悔される方がいらっしゃいます。何十万の多額のお金を払ってしまう前に、まずは近くの日本語教室やコミュニティーセンターなどで日本語ボランティアなどを体験して、自分にこの仕事が合っているかどうか、体感として確認してから、その後に養成講座に通ったほうがよいでしょう。

また、仕事を完全に辞めてしまってから養成講座に通い始める人もいますが、あまりに経済的リスクが高いのでお勧めではありません。万が一、万事うまくいき講座終了後に日本語教師になったとしても、初期は非常勤(パート・アルバイト)形態の勤務になる場合が多く、かなり経済的に不安定になる可能性が高いからです。
できれば通学する場合も、現在の職場は辞めずに、働きながら通えるスタイルを選び、石橋を叩きながら進路を進んだほうがよいです。→[ 日本語教師は常勤と非常勤はどちらが多いですか? ]

 56万円×年数

その他、大学で日本語教育を専攻または副専攻といったコースがありますが、その費用は上記通学コース同様か、それ以上の金額が発生してしまいます。年間の学費は、国立大学でおよそ56万円、私立大学だとおよそ平均89万円程度。→詳細:日本語教師になるための大学リスト
現在高校生でこれから大学に入学する、という人は、大学で専攻するのもよいですが、日本語教師というのは不安定な職業ですので、今は日本語教師に憧れていても(離職率が高いため)、将来、この職以外の職に就く可能性は非常に大きいので、将来のあらゆる事態に対応できるよう、つぶしが効くように一般の学部に入学しておいたほうがよいかもしれません(どうしても大学で日本語教師関連を学びたい場合も、あくまで「ついでに」学ぶというスタンスが無難です)。→日本語教師か就職かの進路に迷ったら

日本語教師は、新卒採用市場ではなく、完全に中途採用市場です。社会経験も教える際には必要となってきますので、一般的には30歳台くらいの社会人の方が、検定試験合格か420時間の養成講座修了で日本語教師になっていくパターンが、一番現実的な路線です。