検定独学合格の本

当ページは、こちらの独学10ヶ月での合格体験記(日本語教育能力検定試験) のページ内の、独学で実際に使ったテキストとその使い方(学習方法)をさらに詳しく説明したものです。

実際に独学で合格した人の、勉強のコツとテキストを使った感想などを時系列にまとめてあります。

  • 期間:約10ヶ月弱(1月スタート)
  • 予算:26,000円+税(下記のテキスト代のみ)

人によっては学習期間を6ヶ月~最短3ヶ月まで短縮できるかもしれません。
独学で日本語教育能力検定試験の合格を目指している方の参考になれば幸いです。

 

国家資格(登録日本語教員)制度施行後、令和6(2024)年度以降の日本語教育能力検定試験およびその資格としての効果については、こちら『今後、日本語教育能力検定試験はどうなるか 』をご参照ください。

当ページは、令和5(2023)年度までの状況をふまえた過去の記事となります。ご了承ください。

【1~3月】まずは全体像の把握から

  • 「日本語教育能力検定試験 合格するための本」アルク
  • 「日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド」ヒューマンアカデミー

まずはこの2冊で日本語教育能力検定試験の内容を探るつもりだったのですが、思った以上に専門用語が多くて難しく、わからないことがわからない状態で早くも挫折しそうになりました。

でも落ち着いて読み進めてみると、全てがわからないわけではなく、分野によっては自分の経験から理解できる箇所も少なからずあったので、これは時間をかけてわからない箇所をひとつひとつ減らしていくこと、とにかく繰り返し読むことで専門用語に慣れていくことが合格するためには必要だと思いました。

テキストを繰り返し黙読、音読、重要語句はノートにひたすら書き写すことで、まずは言葉に慣れるところからはじめました。

特に「完全攻略ガイド」は基礎知識0の学習初心者にはハードルは高いですが、まず試験の難しさと出題範囲の広さをリアルに感じることと、わからなくてもともとと思って、最初にざっと一冊さらいながら自分の苦手分野を把握することは今後の学習計画を立てるためにもよいかと思います。(その経験があると、一通り基礎をじっくり勉強した後で再度読んだ時に理解できている自分に驚き、また達成感もあります。)

合格するための本」はまず試験全容を把握するためにはよい本です。全分野にわたり、説明と練習問題が付いているので、試験前日、当日の最後のまとめとして使いました。試験会場当日にも、会場でこの本を読んでいる人を見かけました。特に聴解については説明が詳しく書かれていて、CDつきの練習問題もあったので、聴解の専門書を買っていなかった私には役に立ちました(聴解については後述あり)。

【2~3月】「わからないこと」を個別につぶしていく

まず、上の2冊で自分が「わからないこと」をざっくりと洗い出しました。

次に、その抽出した「わからないこと」を減らすために、専門用語の理解を深めたいと思って買ったのが、用語集です。

50音順用語集日本語教育能力検定試験 50音順用語集

  • 「日本語教育能力検定試験 50音順 用語集」ヒューマンアカデミー

今となってみれば、日本語教育能力検定試験は用語の意味を丸暗記する性質の試験ではないので、この本がどのくらい活用されたかと言えば、学習はじめの頃だけだったかもしれませんが、勉強が手探りの状態で、用語集を持っている安心感はありました。
辞書のような感じで、わからない用語があれば調べて最初の頃はノートにも書き写しましたが、試験勉強に出てくる専門用語に慣れなければいけない初期には必要でした。専門用語に対する、拒絶反応(?)が少なくなってからは、あまり使わなくなったように思います。

【4月】過去問/問題集

一通り「攻略ガイド」をさらって、用語を確認したところで、腕試しに購入して挑戦してみたのがこれらの過去問集(問題集)。

  • 「日本語教育能力検定試験 試験問題」凡人社(過去問3年分/3冊)
  • 「日本語教育能力検定試験 合格問題集」ヒューマンアカデミー

過去問を解くことは、日本語教師養成講座を受講している人でも、独学で勉強している人でも、すべての受験生に必須だと思われます。初めの検定試験の傾向の探りと、最後の詰めは過去問がないとできません。最低でも3年分くらいあると繰り返し解けるのでいいでしょう。

私は解いてみて、ほぼ全滅に近い状態でしたが、まだ本を1-2回さらっただけなので、こんなものだろうと思いました。

凡人社の過去問は解答のみで解説がないのですが、ヒューマンアカデミーの「合格問題集」は解説がついていたので、一つ一つ解説を読みながら、攻略ガイドの該当ページを探して熟読しました。

過去問には、最初全滅しても構わないくらいの気持ちで学習をはじめてまだ早いうちに一度、挑戦してみるといいと思います。(学習初期であれば、落ち込みも少ないですし、今後の学習計画も立てやすいからです。)

【5~7月】分野ごとに強化

この辺りで、各分野毎に専門書を使って基礎を強化しないと、とても試験に太刀打ちできないと思い、役立ちそうな参考書を探しはじめました。

文法

考えて解いて学ぶ日本語教育考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法

  • 「考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法」原沢伊都夫 著

文法を専門的に勉強しなければならないと思って、手に取った本です。過去に日本語をボランティアで教える機会があった時になんとなく購入して手元にあったのですが、手付かずで置いてありました。例題、表の空欄を埋めるワークシート等ページに沿って進めていくことで、暗記ではなく文法の基本的な考え方から理解することができます。日本語文法を難しいと感じることなく、むしろ面白いと思いながら、一冊を終えることができました。文法書一冊を終えた達成感は自信とさらなる学習意欲も与えてくれたと思います。初級者にはわかりやすい参考書で、日本語文法は苦手で難しいと思っている人にお薦めの一冊です。

日本語教育のスタートライン日本語教育のスタートライン
本気で日本語教師を目指す人のための入門書

  • 「日本語教育のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書」荒川洋平著

試験全体の出題範囲に沿っていて、わかりやすい参考書をインターネットでも調べながら探してたどり着いた本です。

基礎知識のない学習初心者にも親しみやすくわかりやすい例えを使って説明しているので、単純に読み物としても楽しむことができる良書です。個人的に参考書の中で一番気に入っています。気軽に読めるおもしろさがあり、試験勉強に疲れたり飽きた時の息抜きとしても(勉強をさぼっている感がなく)楽しめます。けっこう厚みがある本なのですが、あっという間に読んでしまいました。
試験の範囲を全体的にカバーしてあるので、この本一冊を読んだ後に「日本語教育能力試験 完全攻略ガイド」を再度読んだところ、以前よりもずいぶん理解ができるようになりました。

合格するための文法日本語教育能力検定試験に合格するための文法27

  • 「日本語教育能力検定試験に合格するための文法27」アルク

「考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法」を一冊こなした後に、もう一冊くらい文法書を読んでおこうと思って買った本。この本に関しては初級者向けではありますが、もしかしたら文法の基礎知識がないと少しわかりにくい部分もあるかもしれません。
私は一冊基礎文法の本をこなした後だったので、さらっと読めましたが、最初にこの本にあたるのは少し難しいかもしれません。すでに文法の基礎知識を勉強した人のまとめとして使うには、よくまとまっているのでいい参考書だと思います。著者によって例文や説明文のテイストは違うので、文法1つとっても、いろいろな参考書にあたることで、立体的に見えてきて理解が深まると思います。

記述式

記述式問題日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40

  • 「日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40」アルク

わりと文章を書くことに苦手意識が高かったので、早めに対策をしておこうと購入しました。
例題と模範解答が多いだけではなく、「よくない解答例」とその説明、文章を書く時のポイントがわかりやすく書かれていたので、あまり難しく考えずに読み進めることができました。
私はまず、模範解答を書き写しながら、文章構成の仕方などを把握して、慣れてきてから練習問題にとりかかることにしました。記述問題といっても400字程度のさほど長くない文章なので、一日1-2問と決めておけば、それほど負担はありません。一冊終わる頃には、記述問題への苦手意識は薄れ、むしろ絶対に記述だけは点をとりこぼさないようにしようと思いました。記述問題対策はこの一冊をやるだけで十分だと思います。

聴解

聴解については適切な参考書が見あたらなかったのと、以前から英語の音声学に関心があったこともあり「完全攻略ガイド」にある説明でおおかた理解ができたので、新たな参考書には手を出しませんでした。

とりあえず「完全攻略ガイド」「合格問題集」「合格するための本」「過去問」に付録として付いていた聴解用CDを聴きまくり、練習問題や模試の問題に何度もあたりました。
また、聴解問題の口腔断面図を手書きでまとめたりもしました。

【8月~追い込み~直前】くり返しが大切

だいたい専門書を1-2回終えたところで、再度「合格問題集」と「過去問」に挑戦しました。1回目よりもマシではありましたが、とても合格点には届かない結果。
でも間違えた問題であっても、最後に迷った選択肢の中に答があったり、答を見て納得できる問題が多かったり、前よりは理解できるようにはなっていました。

答をみてもよくわからなかった問題は調べて、過去問を3-4回ずつは繰り返し解いたと思います。

中には調べてもなぜこの答えになるかわからない問題もあったのですが、そこは時間をかけすぎず、捨て問題と割り切って次に進むようにしました。
(3回目くらいからは、さすがに答えを覚えてしまうのですが、それでも満点はなかなか取れません。)
試験直前からは、時間制限を区切って過去問一回分を一日やり切る練習をしました。

最後のまとめ(総仕上げ)

  • 8月:過去問→間違えたところ→深堀り
  • 9月:時間制限なしで過去問題集をひたすら解く
  • 10月:短時間で過去問を解くの繰り返し。時間あれば聴解問題を聞く。記述式を書く練習。

検定の基礎知識日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識

  • 「日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識」アルク

本当に基礎知識だけですが、ポイントをしっかりおさえているので、最後のまとめとして使いました。試験当日もこの本を携帯している受験生を結構たくさん見かけました。電車でも読める携帯できるサイズで、とてもわかりやすく書かれているので、難しい参考書からはじめたら挫折しそうだという方は、学習のとっかかりとして手にとる本としてもいいと思います。

最初にあげたこの「合格するための本」ですが、全分野にわたり、説明と練習問題がついているので、試験前日、当日の最後のまとめとしても使いました。
特に聴解については説明が詳しく書かれていて、CDつきの練習問題もあったので、聴解の専門書を買っていなかった私には役に立ちました。
試験当日、会場でこの本を広げている受験生も多かったです。

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