文化庁認定日本語教師養成講座とは

当頁は、国内・海外に多種多様にある日本語教師養成講座のうち、日本国内の一部の文化庁認定講座(文化庁届出受理講座)についての説明となります。

文化庁認定の日本語教師養成講座とは

一部の場所で日本語教師をするための1つの資格

文化庁認定の日本語教師養成講座とは、「法務省告示の日本語教育機関の教員になる方を養成するための研修プログラム」のことです。

【文化庁】日本語教員養成研修の届出について よくある質問
「法務省告示の日本語教育機関の教員になる方を養成するための研修プログラムを実施される場合についてのみ,届出が必要となります。」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/pdf/shitsumon_senshu.pdf

その「法務省告示の日本語教育機関」とは、「在留資格「留学」が付与される留学生を受け入れることが可能な日本語教育機関」のことを指します。

つまり、「法務省告示の日本語教育機関」(いわゆる一般的に、日本国内の「日本語学校」と呼ばれている場所)で教員として働く場合以外は、必ずしも文化庁届出受理(文化庁認定)の日本語教師養成講座でなければならない、というわけではありません。

リスト

文化庁認定の日本語教師養成講座は、法務省の「新基準」とその「解釈指針」(2016年7月22日公示、2017年8月1日から施行)を元にした、文化庁の「日本語教育機関の法務省告示基準第1条第1項第13号に定める日本語教員の要件について」*にそって、文化庁国語課への届出をし、審査を受けた上で受理(認定)された「日本語教員養成研修実施機関・団体」**が催す講座のことを指し、具体的には以下の画像リンク先のリスト(PDF)にて公開されています。

「日本語教育機関の告示基準」(平成28年7月22日法務省入国管理局策定)
第1条第1項第13号ニに規定する日本語教員の要件として
適当と認められる研修について届出を受理された日本語教員養成研修実施機関・団体

文化庁認定講座リストwww.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/pdf/kyoin_kenshu_list.pdf

*「日本語教育機関の法務省告示基準第1条第1項第13号に定める日本語教員の要件について」
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/
**「日本語教員養成研修実施機関・団体」
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/pdf/kyoin_kenshu_list.pdf

関連Q&A

文化庁認定講座の特徴は

Q. 文化庁に公認される講座は何か特別な特徴があるのでしょうか?

A. 文化庁認定講座の特徴は、基本的にはこれまで長年に渡って運営されてきた「日本語教員資格ガイドライン」と基本的には変わっていませんが、以下のような特徴が挙げられます。

  • 文化庁に届出・審査・公認がなされ、上記リスト一覧に掲載されていること。
    (国内の通学の420時間講座であっても、上記リストに非掲載であれば認定外。)
  • 講座の学習内容は文化庁『日本語教員養成において必要とされる教育内容』記載内容であること。
  • 1単位時間は45分を下回っていないこと。
  • 認定された学校でも、コースや校舎によっては非認定のものもある(リスト等で確認要注意)。
  • 通信教育の形態も、条件を満たしていれば認められる(下記参照)。
  • 海外の講座は通学の420時間であっても審査対象外(認定外)
  • 法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)以外では文化庁認定等は関係ありません。

実際に文化庁届出受理講座がどんなものかを知るには、実際に学校に行ってみるとよいでしょう。全国規模で無料説明会をおこなっている日本語教師養成講座もあります。
→参考:文化庁届出受理講座の【無料説明会】

認定講座はこれだけですか?

Q. 文化庁認定講座は、上のリストに記載されているものだけですか?

A. はい、今現在はそのリストに記載されているものがすべてです。それ以上でもそれ以下でもないので、文化庁届出受理講座をお探しの方は、あちこちに「これは文化庁認定講座か?」といちいち尋ねてまわる必要はありません。

今後も認可申請する学校(講座)が、文化庁に受理されれば増える可能性はございますが、基本的には主要な日本語教師養成講座はほぼすべて届出受理済みとなっており、ほぼ出そろった感はあります(すでに供給過多気味)。そのため、上記の文化庁のリストは、最近はほぼ更新されていません。

むしろ、運営できているのか?(受講生がいるのかどうか?)疑問な、怪しい文化庁認定講座もすでに存在しています。

また、同じ学校の同じ名前の講座であっても、各校舎によって、認定されていたり、認定されていないものがありますので、その都度、自分が受講しようとする講座のコースが、上記リストに掲載されているものか、確認する必要があります。

尚、海外の講座は審査・認可対象外です。(下記「海外の講座について」参照)

学歴と420時間講座について

Q. 私は高卒ですが、文化庁認定の420時間の日本語教師養成講座を修了さえすれば日本語教師になれますか?

A. いいえ。上記の法務省の「新基準」公示の通り、「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」で日本語教師になるには、「学士,修士又は博士の学位を有し」「かつ,日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」と定められています。

つまり、四大卒以上でないと、いくら文化庁認定の420時間講座を修了しても、「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」の日本語教師としての採用条件は満たさない、ということになります。

Q. それでは高卒や短大卒者は日本語教師にはなれないのですか?

A.いいえ。上記の法務省の「新基準」をご覧いただければわかりますが、「四大卒以上+420時間講座修了」以外にも、「検定試験合格者であること」との採用基準があり、その日本語教育能力検定試験の合格者には学歴は求められてはいないことがわかります。
つまり、四大卒に満たない人(高卒・短大卒・専門学校卒者等)は、こちらの日本語教育能力検定試験に合格さえしていれば、(あくまで書面上・理論上ですが)学歴に関係なく、「法務省告示の日本語教育機関」での日本語教師の採用条件は満たすことになります。

また、そもそもこの文化庁認定や法務省の「新基準」は、あくまで「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」で働く場合にのみ適用される基準であって、それ以外で働く場合には、この基準は関係ありません(拘束力はありません)。
→参考:[法務省告示校以外の日本語教師の求人情報]

通信の420時間講座について

Q. 通信教育は420時間と認められないと聞いたことがあるのですが本当ですか?

A. いいえ。上記の法務省「新基準」をご覧いただいてもわかるように、また、文化庁公示の上記リストに「通信」という項目にて講座が複数記載されていることからもわかるように、通信教育も420時間履修の一手段として正式に認められています

新基準「解釈指針」の第1条第1項第13号ニ の(2)
「また,通信による研修(放送その他これに準ずるものの視聴により学修させる研修に限る。以下同じ。)の場合には,420単位時間以上の研修科目のうち,120単位時間以上は面接による研修又はメディア(同時双方向性が確立している場合に限る。)を利用して行う研修(以下「面接による研修等」という。)であること。」

「メディア(同時双方向性が確立している場合)」とは、例えばSkypeのような通信機器を使ってのオンラインでの通信教育授業のことです。この条件を満たし、文化庁に届出をして認可されれば、通信教育での420時間講座履修も認められています。

つまり、「通信教育だから不可」という基準は存在せず、「通信」「通学」に関わらず、文化庁に認定されていなければ(=上の一覧リストに載っていなければ)、その講座の修了証は「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」に限っては教員資格としては認められない、ということになります。

海外の講座について

Q. 海外にも文化庁認定の日本語教師養成講座はあるのですか?例えば、アメリカ・オーストラリア・イギリスなどで留学しながら、文化庁認定の420時間資格を取得し、帰国後に日本で日本語教師をすることは可能なのでしょうか?

A.「通学」や「通信教育」の受講形態に関わらず(例え通学の420時間であっても)、海外の日本語教師養成講座は、文化庁の審査対象外(認定外)です。

事務局及び教育の実施主体が海外にある場合には,私どもが確認できることが限られるため,対象は国内とさせていただいております。(文化庁文化部国語課2016年12月の回答)

よって、日本の「法務省告示の日本語教育機関」限定で働く場合は、海外の420時間講座の修了証では採用基準を満たしませんが、海外や日本国内の「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」以外で働く場合は、海外の日本語教師養成420時間講座でも有効です(採用先の判断次第です)。

Q. 海外の学校での募集の際にも、420時間を受講した方(通信を含む)とある場合がありますが、これは今後、文化庁の規定に沿って「メディアを利用しての研修をクリアしていること」が内包されるのでしょうか。

A. いいえ。「国内だから」「海外だから」のいう区分けではなく、そもそもこの法務省や文化庁の規定は、「法務省告示の日本語教育機関(法務省告示校など)」に限ってのみ適用される規定であり、「法務省告示の日本語教育機関」以外を拘束するものではありません。

日本国内にも「法務省告示の日本語教育機関」以外の日本語教育機関は存在します。また、海外であっても技能実習生送り出し機関など「法務省告示の日本語教育機関」に準ずる教育機関は存在します。ですので、「国内だから」「海外だから」と短絡的に仕分けるのはあまりに乱暴な見方で、真実を見誤ることになります。

よって、日本国内または海外の「法務省告示の日本語教育機関」以外で就職する際は、必ずしも文化庁届出受理の日本語教師養成講座でなければならない、というわけではありません。採用側の判断次第、ということになります。

極端な例では、(法務省告示の日本語教育機関以外において)「日本人だから」という理由で、無資格で日本語教師をされている方も現に存在していますが、まったく問題ありません。