日本語教師の主な「お客様」(日本語学習者)は、アジアの人々が7~8割以上を占めています。来日して日本語学校などで学んでいる、もしくは現地で学んでいるアジアの人々が、日本語教師の主な顧客層です。

そうした背景から、日本語教師はよほどアジアの人々のお世話が好きでないと務まらない職とも言えます。

当頁では、日本語教師になるには(日本国内)に続いて、アジア圏でなる方法などをまとめてあります。

アジア圏では、比較的簡単に日本語教師になれます。

 アジア圏で求められる資格は

アジアの生活アジア圏でも日本語教師になる場合に求められる資格(採用条件)は、日本国内同様、

1)日本語教師養成420時間講座修了
2)日本語教育能力検定試験合格
3)大学で日本語教育を主/副専攻
※その他ビザの諸条件があります。

などが一般的ですが、法務省告示機関ではないため、「文化庁認定の講座でなければならない」といった拘束はありません(技能実習生送り出し機関等の法務省告示の日本語教育機関を除く)。

四大卒であれば、日本語教師の資格を持っていなくても、就労ビザが取れる国もあり、アジアは比較的ハードルが低いと言えます。

アジア各国(中国・台湾・ベトナム・インドなど)では日本との経済的つながりが密なため、日本語学習の需要も多く、民間の語学学校等での求人募集は日本国内の10倍以上あるとも言われ、慢性的な日本語教師不足(求人数はあるものの、選り好みをするという需要と供給の不一致)の状態ですので、「選ばなければ」勤務先を見つけるのは比較的容易です。
こちらのアジア圏の日本語教師の求人情報をご覧いただければわかるように、インターネット上でも常時、アジア各国での求人募集がなされている状態です。
特に近年では需要と将来性がある国にてもご案内しているように、ベトナムでの求人数(需要)増加が非常に際立っています。

但し、日本の少子高齢化もあって、アジア新興国のカオスな環境に飛び込もうとするチャレンジャーな日本人が少なくなってきている現状です。

そんな人手不足なアジアの現状ですので、日本国政府は、現地にてアジア人の日本語教師育成に力を入れる方針を打ち出しています。

政府は、アジアで日本語教師を新規育成する拠点づくりを推進する方針を決めた。7月にインドで初整備したのを皮切りに、12月にもベトナムとミャンマーに開設する。
日本語を教える現地人の教師を増やすことで、日本に関心を持つ有能な人材が日本語を学べる機会を拡充する。アジアでの日本語の普及を促進する狙いがある。
https://kyoto-np.jp/politics/article/20180930000060(京都新聞 2018年09月30日)

 アジア圏での給与で現地で生活できるのか

アジア圏での日本語教師の給与は、現地水準になりますので薄給(国にもよりますが、日本円に換算すると3万円~10万円程度)となりますが、その分、物価も安く、また、日本語教師の場合、滞在先が勤務先から無償提供(または住宅手当などの補助が支給)される場合も多いので、その国での生活は十分 成り立つことでしょう。

一般的に、アジア圏では、現地の教員並みか、それ以上の給料が支給される待遇が多いですが、しかし、ほとんどが現地通貨で給料が支給されるため、為替格差もあり、なかなかお金を貯めるまでは難しい場合が多いようです。

また、そうしたアジアの給与水準ですと、日本の国民年金等を支払うことが困難ですので、日本の社会保障制度から外れてしまう(将来受け取れる年金額が少なくなる等)、という危険性もあります。

よって、アジア圏での専任(常勤フルタイム)職においても、貯金を切り崩しながら生活しなければならない可能性があり、前もっての十分な貯蓄か生活支援の後ろ盾が必要となります。
実際、学校とのトラブルで往復フライトが支給されず、帰国便の航空券も工面できず、親に支援を受けて何とか帰国できた人もいる、という話も聞くことがあります。

 ビザの壁

日本国内で日本語教師をやる場合と大きく異なる点は、海外で働くことになりますので、その国の適正なビザ(就労ビザ)が必要となることです。
上記1)~3)の資格をクリアしていても、それ以前に、「ビザの壁」が立ちふさがります。ビザの取得条件としては、概ね、

  • 年齢制限:60才位(実質は55歳くらい)まで*だが、実際の求人対象は25~40才ぐらい**とする国や雇用先が多い。
  • 学歴:四年制大学卒業(短大卒は要職歴)でないとビザやワークパーミット(労働許可)が取れない。
    ※その他、犯罪歴の有無や健康診断書が必要な場合もあり。

・・・といったものが加わってきます。なぜビザ取得に学歴などが関係してくるか、というと、要は「不法就労を防ぐ(誰でもかれでも入国させたくない、「それなりの人」のみ就労OK)」などの各国事情が存在しているためです。

 ビザの年齢の注意点

*・・・60才位(実質は55歳くらい)までというのは、就労ビザが認められるのがだいたい60歳までぐらいとなっている国が多く、採用側としては、せっかく採用するからには2期(2年契約で4年とか、1年契約で3,4年)ぐらいは働いてもらいたい、という希望があり、そのため、60歳から遡ること4年で、求人応募の段階で実質55歳くらいまでを上限としている雇用機関が多い、ということです。

**・・・また、中国などもそうですが、いくら資格を持っていても、社会経験が2年以上ないと就労ビザが認可されないという国もあります。そのため、大学卒業+2年=24歳頃になりますので、求人応募の段階で実質25歳以上と考えている雇用先も多いです。
つまり、新卒の方は、事実上、海外で日本語教師はなれない国もある、ということになります。

 アジア圏の過去の給料・待遇事例 国別比較

アジアの日本語教師市場は、2010年頃までは中国と韓国が5-6割方を占めていましたが、韓国での学習者減少などにより、近年はASEAN各国の学習者の割合が増えている状況です。

 ベトナムの一例

ベトナムの画像【勤務地】:ハノイやホーチミンなどの日本語学校
【勤務条件】:常勤(専任)
【応募資格・採用条件】:四大卒の有資格者
【給料・待遇】:月給1200USDまたは1,200万ドンなど。
※ベトナムの場合、基本的に滞在費や光熱費無料(勤務先負担)、一部食事無料、渡航費は契約満了時に往復航空券分を支給、という待遇が標準的。
現在、世界でも一番、日本語教師の求人数に勢いがある国、それがベトナムです。日本語学校勤務以外にも、会社採用として技能実習生に教える形態も多数あります。→[ベトナムの求人一覧]

 中国の一例

中国画像【勤務地】:上海の日本語学校 【勤務条件】:常勤(フルタイム)
【給料・待遇】:月給4000元(約5万円)、学校内宿舎無償提供(電気・水道代無料、家具・TV付)、ネット接続無料、学内での食事無料、1年または2年の契約期間満了時に往復航空券代を支給。
※中国での日本人教師の待遇は基本的には至れりつくせりなのが標準ですが、物価格差もありますので、日本円で換算した場合の貯金は厳しいかもしれません。大学勤務の場合などは月収5000元~などが一般的です。→[ 中国の日本語教師の求人 ] ※ちなみに収入に見る物価考察ですが、中国人の大卒の平均月収は3000元。「恋愛するのにふさわしいのは月収4000元 以上の男性」 と考える中国人女性が80%近くに上るとの調査結果が『新京報』(2012年1月6日付)に掲載されています。

 韓国の一例

韓国画像【勤務地】:韓国・釜山の民間の語学学校
【勤務形態】:常勤講師(1日6時間勤務)、土曜出勤あり
【給与・待遇】:月給140万ウォン(約10万円相当)/E2ビザ発給費用学校負担/1年契約(契約更新可能)/宿舎提供(光熱費は自己負担)、往復の航空券支給(上限40万ウォンまで)、その他保険費用等は学校持ち。
以上が民間語学学校での常勤の標準的な待遇一例ですが、時給やコマ単位でのパート/アルバイト職の求人が増える傾向になり、1コマ単位では24万ウォンが1つの目安です。大学勤務の常勤教員は、さらに給与はよくなり、月収200万ウォン~(1週間で12時間が基本、超過分は追加払い)などと条件はよくなります。→参考:[ 韓国の日本語教師の求人 ] しかしながら、韓国は今、世界で一番、日本語学習者が激減していっている国で、すでにピーク時の半減に至っています。加えて韓流ブーム時代などに渡韓した現地在住の日本人もあふれているため、わざわざビザ取得の手間がかかる日本へ募集をかけて採用する求人も減少傾向、現地韓国内でのみパート・アルバイトを募集するだけの傾向が強まっています。

 アジア圏では語学力(現地語力)は必要か

語学力については、求人応募の段階では現地語力不問(中国語力不問、韓国語力不問)の求人がほとんどです。その理由は、

  • アジアでは授業は直説法で教えることが多いため
  • そもそも現地語ができる日本人がほとんどいないので採用条件に課しても意味がない(求人応募者がいなくなる)

ためです。

但し、アジアであっても、インドやシンガポール、フィリピンなどでは日本語教師にも英語で教えられるスキルが採用条件で求められていることが多いです。マレーシアでも、

授業は直説法で行いますが、英語で質問された場合に答えられる程度の英語レベルを必要とします。

と英語力を課している求人情報も実在します。

また、現地の言葉ができないと、言葉が通じないのをよいことに、給与や待遇面でピンハネする現地の学校もありますので、注意が必要です。採用時に交わした雇用条件のやりとりと、現地でサインした契約書の内容に齟齬があるケースも多発しています。
中国で働くなら中国語力、韓国なら韓国語(ハングル)力ができるに越したことはありませんので、着任前までにできる限り現地語の語学力を付けることがトラブル防止・身の安全確保につながります。

 アジア圏でのまとめ

アジア圏で日本語教師になるのは、ハードルは低いです。但し、現地の生活を受け入れられるか?経済的・肉体的・精神的に適用できるか?がポイントになってきます。

実際、アジア各国からの求人を見ていると、採用条件等に、「精神的・肉体的に明るく健康な人」「現地の生活に適用できる人」という趣旨の注意事項が添えられているものをたくさん見かけます。
前回の求人ではそうした注意書き文言がなかったのに、新しい求人掲載時にはそんな一文が付け加えられているものもあり、どなたかが、精神的ないし肉体的に問題が生じてすぐに辞めてしまったことがうかがえます。

そうした背景(日本人があまり赴任したがらないことによる人手不足)から、アジア各地での外国人日本語教師の育成も始まり、現地国籍の日本語教師が増加すれば、今後、日本人がアジア圏で日本語教師になるのも難しくなっていく(日本人の日本語教師の数はそれほど要らなくなってくる)可能性があります。→参考:競合(共存)と外注が進む日本語教師の今後

日本語教師の主なお得意様である、日本語学習者が多いASEANを中心としたアジア諸国は、まだまだ発展途上のカオス状態で、今後も劇的に環境が変わっていきます。そんな変化の波にうまく波乗りできる方が、アジア圏での日本語教師に適しているといえます。

以上がアジアの概要です。

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