420時間 の学習内容の定義

日本語教師になるための日本語教師養成420時間講座の「420時間」の履修に望ましいとされる内容は、日本国の文部科学省の外局行政機関である文化庁の『日本語教員養成において必要とされる教育内容』(平成12年報告)のガイドラインに準拠し、420単位時間以上の研修科目が設定されたものを一般的に指します。

2018年(平成30年)3月2日の文化審議会国語分科会「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」にても上記平成12年報告は「踏襲」された上で、その学習項目の中から「必須の教育内容」が改めてピックアップされ掲げられました[→下表内の赤字(1)~(50)]。

 文化庁『日本語教員養成において必要とされる教育内容』

文化庁『日本語教員養成において必要とされる教育内容』とは、平成12年(2000年)3月、文化庁に設置された「日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議」報告の『日本語教育のための教員養成について』取りまとめた指針(ガイドライン)のことで、以下の表の内容が指導されています。

学習領域は、コミュニケーションを核として大きく3つの領域(「社会・文化に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」)から成り立ち、その3つの領域はあえて明確な線引きや優先順位を設けず、相互に段階的に関連し、いずれも等価な領域として位置づけられています。

またその大きな3つの領域は、さらに5つの区分(「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」)に分かれ、それらの区分はさらに3~4つの区分に細分化して学習するよう指針されています。
※下表内赤文字(1)~(50)は、2018年3月「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」における「必須の教育内容」項目です。

文化庁 日本語教師養成420時間講座
『日本語教員養成において必要とされる教育内容』
「社会・文化に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」
該当教材:「日本語教育全書
社会

文化

地域
1.世界と日本
歴史(世界史・日本史)/文化/文明/社会/政治/経済/芸術/哲学/国際関係/貿易外交/日本事情/日本文学/教育制度/人口動態/労働政策/日本的経営/グローバルスタンダード/社会習慣/時事問題 など
(1)世界と日本の社会と文化
→第1章
「世界と日本」にて学習
2.異文化接触
国際協力/文化交流/留学生政策/移民・難民政策/研修生受入政策/外国人児童生徒/帰国児童生徒/地域協力/精神衛生/国際機関/技術移転/出入国管理/外国人就労/共生社会/難民条約/子どもの権利条約/国籍/少数民族/異文化適応/カウンセリング/ODA/NGO/NPOなど
(2)日本の在留外国人施策
(3)多文化共生(地域社会における共生)
→日本語教育能力検定試験
関連二
「異文化接触」にて学習
3.日本語教育の歴史と現状
日本語教育史/言語政策/教員養成/学習者の多様化/教育哲学/学習者の推移/日本語試験/各国語試験/世界各地域の日本語教育事情/日本各地域の日本語教育事情(第二次世界大戦/国際共通語/日本語教員養成講座/留学生/就学生/技術研修生/中国帰国者/難民/出入国管理及び難民認定法(入管法)/地域の日本語教育/日本語教育能力検定試験/日本語能力試験/ジェトロビジネス日本語能力テスト/ACTFL/TOEFL/TOEIC/英検)など
(4)日本語教育史 (5)言語政策 (6)日本語の試験
(7)世界と日本の日本語教育事情

→第2章
「日本語教育の歴史と現状」にて学習
言語

社会
4.言語と社会の関係
ことばと文化/社会言語学/社会文化能力/言語接触/言語管理/言語政策/言語社会学/教育哲学/教育社会学/教育制度(世界観/宗教観/法意識/自己概念/個人主義/集団主義/公用語/方言/言語生活/外国語・第二言語教育/ピジン・クレオール/ダイグロシア/二言語併用)など
(8)社会言語学 (9)言語政策とことば
→第17章「言語と社会」にて学習
5.言語使用と社会
言語変種/ジェンダー差・世代差/地域言語/待遇・ポライトネス/言語・非言語行動/コミュニケーション・ストラテジー/地域生活関連情報{語用論ルール/ウチ・ソト/やりもらい/会話のルール/メタ言語/沈黙/意志決定/交渉/根回し/稟議/時間・空間意識/ホンネとタテマエ/人称代名詞・親族名称・呼称/メタファー/発話行為(依頼・言い訳・感謝・約束・謝罪等)/指標/終助詞}など
(10)コミュニケーションストラテジー
(11)待遇・敬意表現 (12)言語・非言語行動

→第1章
「世界と日本」内、
「世界の中の日本」等で学習
6.異文化コミュニケーションと社会
異文化受容・適応/言語・文化相対主義/自文化(自民族)中心主義/アイデンティティ/多文化主義/異文化間トレランス/言語イデオロギー/言語選択{意味付け/コードスイッチング/翻訳/通訳/バイカルチャリズム/エスノリンキ゛スティック・ハ゛イタリティ(ethnolinguistic vitality)/イクイティ(equity)/共生/コンテキスト/異文化交渉/国際協力}など
(13)多言語・多文化主義
→第2章「日本語教育の歴史と現状」
内等にて学習
言語

心理
7.言語理解の過程
言語理解/談話理解/予測・推測能力/記憶/視点/言語学習{記憶(エピソード記憶・意味記憶)/スキーマ/トップダウン・ボトムアップ・処理/推論}
(14)談話理解 (15)言語学習
→第6章「言語と心理」内、
「認知心理学」等で学習
8.言語習得・発達
幼児言語/習得過程(第一言語・第二言語)/中間言語/言語喪失/バイリンガリズム/学習過程/学習者タイプ/学習ストラテジー/第一言語・第二言語/相互依存仮説/帰納的・演繹的学習法/言語転移/意味フィルター/発達障害/学習障害:LD/言語病理/沈黙期 など
(16)習得過程(第一・第二言語) (17)学習ストラテジー
→第6章
「言語と心理」で学習
9.異文化理解と心理
異文化間心理学/社会的スキル/集団主義/教育心理/日本語の学習・教育の情意的側面/カルチャーショック/文化摩擦/判断停止(エポケーepokhe)/文化化/異文化トレーニング/自己開示など
(18)異文化受容・適応
(19)日本語の学習・教育の情意的側面

→第4章
「異文化間教育」等にて学習
言語

教育
10.言語教育法・実習
実践的知識/実践的能力/自己点検能力/カリキュラム/コースデザイン/教室活動/教授法/評価法/学習者情報/教育実習/教育環境/地域別・年齢別日本語教育法/教育情報/ニーズ分析/誤用分析/教材分析・開発{教室研究(クラスルームリサーチ)アクションリサーチ/グループダイナミクス/ドラマ/ロールプレイ/スピーチ/ディベート/ディスカッション/多言語・多文化/インタラクション/教師の自己研修(ティーチャー・ディベロップメント)/コミュニケーション・テスト/アセスメント/ポートフォリオ/シラバス/レディネス}など
(20)日本語教師の資質・能力
(21)日本語教育プログラムの理解と実践
(22)教室・言語環境の設定 (23)コースデザイン (24)教授法
(25)教材分析・作成・開発 (26)評価法 (27)授業計画
(28)教育実習 (29)中間言語分析
(30)授業分析・自己点検能力 (31)目的・対象別日本語教育法

→第18章
「日本語教授に関する知識・能力」
及び
→[ 実習(教育実習)収録DVD ] 等で学習
11.異文化間教育とコミュニケーション教育
異文化間教育/多文化教育/国際・比較教育/国際理解教育/コミュニケーション教育/スピーチ・コミュニケーション/異文化コミュニケーション訓練/開発コミュニケーション/異文化マネージメント/異文化心理/教育心理/言語間対照/学習者の権利{異文化トレーニング/母語保持/エンパワメント/加算・減算的バイリンガリズム/言語転移/相互学習/体験学習/イマージョン教育/クリティカル・インシデント(危機事例)/カルチャー・アシミレータ/判断停止(エポケー)/ファシリテータ}など
(32)異文化間教育 (33)異文化コミュニケーション
(34)コミュニケーション教育
→第4章
「異文化間教育」で学習
12.言語教育と情報
教材開発/教材選択/教育工学/システム工学/統計処理/メディア・リテラシー/情報リテラシー/マルチメディア(教材/教具/メディア/コンテンツ/ネットワーキング/視聴覚情報/言語コーハ゜ス/CAI・CALL・CMI/衛星通信/ファシリテータ/知的所有権/著作権)など
(35)日本語教育とICT (36)著作権
→第18章
「日本語教授に関する知識・能力」および
「日本語教育能力検定試験関連二」「日本語教師アシスタント準備要綱」等で学習
言語 13.言語の構造一般
一般言語学/世界の諸言語/言語の類型/音声的類型/形態(語彙)的類型/統語的類型/意味論的類型/語用論的類型/音声と文法(語族/SOV・SVO言語/モーラ言語/膠着語/高文脈/相対敬語/発話行為/ポライトネス/パラ言語/非言語/表音・表意文字/タイポロジー)など
(37)一般言語学 (38)対照言語学
→第5章
「言語学」、第7章「語彙」、
第8章「音声学」、第9章「語構成」、
第10・11章「日本語文法I・II」、
第12章「文の成分」、
第13章「文の種類」、
第14章「談話」、
第15章「文字・表記」、
第16章「漢字・熟語・文学などに関する一般常識」、
第19章「日本語学概論」
などで学習
14.日本語の構造
日本語の系統/日本語の構造/音韻体系/形態・語彙体系/文法体系/意味体系/語用論的規範/表記/日本語史(南方・北方説/音素/アクセント/イントネーション/形態素/語構成/文節/品詞分類/文法/命題/モダリティ/文章談話構造/語用論的機能/発話行為/位相/待遇表現/方言/性差)など
日本語教育のための(39)日本語分析(40)音韻・音声体系(41)文字と表記(42)形態・語彙体系(43)文法体系(44)意味体系(45)語用論的規範
15.言語研究
理論言語学/応用言語学/情報学/社会言語学/心理言語学/認知言語学/言語地理学/対照言語学/計量言語学/歴史言語学/コミュニケーション学(調査・分析法/リサーチ・ツール/リサーチ・クエスチョン/論文作成法/発表形態/学会)など
16.コミュニケーション能力
受容・理解能力/表出能力/言語運用能力/談話構成能力/議論能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力{4技能/葛藤処理(管理)/プレゼンテーション/対人関係構築・維持/関係修復/判断停止(エポケー)/日本語能力/外国語能力}など
(46)受容・理解能力 (47)言語運用能力
(48)社会文化能力 (49)対人間関係能力 (50)異文化調整能力

 文化庁シラバス 備考

  1. 領域:コミュニケーションを核として、「社会・文化に関わる領域」、「教育に関わる領域」、「言語に関わる領域」の3つの領域からなり、それぞれはあえて明確な線引きは行わず、段階的に緩やかな関係ととらえ、また優先順位を設けず、いずれも等価と位置付ける。
  2. 区分:上記3領域の区分として、「社会・文化・地域」、「言語と社会」、「言語と心理」、「言語と教育」、「言語」の5区分を設ける。また、各々の下位の区分として,3~4区分を設定し,教育内容の位置付けや、日本語教員養成課程等で具体的に開設される科目等との対応付けを行うための目安とした。
  3. 内容・キーワード:下位の区分として16区分を設け、各々に日本語教員養成において必要とされる教育内容を記述した。また、各々の教育内容について具体的な教育細目をイメージしやすくするため、キーワードを設定した。なお、内容及びキーワードは、大学・日本語教育施設等での日本語教員養成課程において開設される科目等とのマッチングを行う際の目安として記述したものであり、教員養成における教育課程編成に際して、教育内容の諸項目を網羅的に行うことを前提としたものではない。
  4. その他:想定される教育課程編成の例(省略)

※上記の内容は、文部科学省の外局である文化庁の『日本語教育のための教員養成について』(平成12年3月 文化庁・日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議報告内の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」にてもご確認いただけます。→[ web ]または[PDF版]参照。

 その他シラバスに関する補足

日本語学習者である外国人は、学生から主婦、老人、幼児、ビジネスマン、そしてあらゆる国籍の人々と、ますます多様化していっています。また、そして教える場所も世界各国多種多様で、順次、変化していっています。
そのため文化庁も「日本語教員養成の教育内容の課題について」等にて、

「標準的な教育内容」が硬直的な指針として受け止められ,各養成機関の創意工夫によった教育課程を編成する上での制約になっている嫌いがあると指摘されている。
前述したような日本語学習者の学習需要の多様化や日本語教員養成課程修了者の活躍の場の拡大が見られる現在,大学等の創意工夫による多様なコース設定を図り,例えば海外において日本語教員として活躍することを希望する者や日本語教育専攻の留学生を対象としたコースを設けることなどが求められるようになってきている。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20000330001/t20000330001.html

と指南し、各日本語教師養成機関が、日本語学習者の学習需要・ニーズの多様化に応えられるように、また日本語教員養成課程修了者の活躍の場が拡大できるように、ますます各日本語教師養成機関が独自性と多様性を出すことを奨励しています。

また、文化庁認定(届出受理)講座や法務省などの規定は、法務省告示の日本語教育機関(外国人生徒受入に法務省管轄でビザ発給が必要な法務省告示校など)で働く場合の規定に過ぎず、それ以外の語学学校、スクール、日本語教室、企業派遣出向型、個人教授、私設校、オンライン、そして海外(技能実習生送り出し機関等は除く)で教える場合には必ずしも適用されません。

要は、ご自身の目的に合った養成講座を選べばよいのです。→[講座を比較-評判や費用,認定一覧]

もし目安となっている各履修項目の中で、例えば実習等で、ご自身に不安や弱点があると認識している方は、日本語教師養成講座420時間(通信)を受講する傍ら、お近くの日本語教室でボランティアなどで実習体験を積むか、または地域の無料または有料の短期の日本語教師講座などを併用受講するなどして実習部分を補足するとよいでしょう。
教育実習は、良い教師になるためのあくまで1つの手段であって目的ではありませんから、それに代わる学習方法があれば、それで補えるところは多々あるかと存じます。

さらに、通信や独学で勉強し、日本語教育能力検定に合格しておけば、法務省の基準も満たすことになります。

 履修内容と時間数:日本語教師養成講座420時間(通信)

上記は学習内容、対照事例のほんの一部です。これ以上の多岐に渡る学習内容を日本語教師養成講座420時間(通信)では学習していきます。

  1. 日本語教師養成一般教養課程60 時間/General training of teaching Japanese:60 hours
  2. 世界の中の日本 40 時間/Status of Japan in the world :40 hours
  3. 日本語教育の歴史と現状15 時間/History and nowadays of Japanese language education:15hours
  4. 国語学史・日本語学15 時間/History of national language and Japanese language :15 hours
  5. 異文化間教育 10 時間/Multicultural education :10 hours
  6. 言語学 20 時間/Linguistics :20 hours
  7. 言語と心理 20 時間/Language and psychology :20 hours
  8. 語彙 15 時間/Vocabulary :15 hours
  9. 音声学 15 時間/Phonetics :15 hours
  10. 語構成 10 時間/Word Structure :10 hours
  11. 日本語文法I 40 時間/Japanese grammar part 1 :40 hours
  12. 日本語文法II 40 時間/ Japanese grammar part2 :40 hours
  13. 文の成分 20 時間/Elements of a sentence :20 hours
  14. 文の種類 20 時間/Types of sentences :20 hours
  15. 談話 20 時間/Discourse 20 hours
  16. 文字・表記 20 時間/Written symbols and the notation 20 hours
  17. 漢字・熟語・文学などに関する一般常識20時間/Common knowledge on kanji, idioms, literature etc. 20 hours
  18. 言語と社会 20 時間/Language and society :20 hours
  19. 日本語教授に関する知識・能力 20 時間/Knowledge and ability on teaching Japanese:20 hours
  20. 日本語学概論 20 時間/Japanology :20 hours
    ※上記時間数はあくまで当講座学習にかかる1つの目安です。

※本通信教育講座は、文化庁指針のシラバスをベースに作られているカリキュラムで、本講座をすべて履修した場合、トータル時間数は420時間を超過します。これは文化庁「教員養成のための教育内容についての報告」で示された標準的なシラバスの内容を習得するには、420時間以上の履修は必要になることに正確に基づいているためです。ただし、講座名は「420」の数字が日本語教師養成に関して一般的となっているため、わかりやすく便宜的に「420」の呼称を使用しています。

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