日本語教師の不安

社会情勢の変化が激しい現在、今は日本語教師を目指さないほうがよい理由が何点かあります。

尚、当ページは、

  • これからゼロから日本語教師の資格を取ろうとしている
  • 「法務省告示の日本語教育機関」で働こうと考えている

の2点を満たす方を念頭に書いてあります。
すでに日本語教師をされている方や「法務省告示の日本語教育機関」以外で働こうと考えている方には該当しません。

理由1.制度の変更

こちら国家資格(公認日本語教師)でどう変わるかにて説明してありますように、もうすぐ「法務省告示の日本語教育機関」における日本語教師の資格制度が変わります。

しかし、実際はどのように変わるのか、具体的な点がまだ不明な部分が多いです。

おそらく今の資格(大学で専攻/420時間講座修了/検定合格)に加えて、指定の教育実習を受ける、という形になりそうな感じではありますが、この制度の全容が具体的に明らかになり、さらに「制度が安定」するまでは、新たに日本語教師を目指すのは控えて、見守っていたほうがよいかもしれません。

制度がはっきりする前に動くと、無駄な資格に多額なお金と時間を費やしたり、さらに別の資格を取らなければ意味がなくなったりする可能性があるからです。

理由2.新型コロナウィルスの影響

需要の低下(求人数の激減)

新型コロナウィルス感染症の影響で、日本語教師が働く日本語学校等、日本語教育関連機関は経営の危機に面しています。実際、先日も外国人実習生の介護仲介団体が破綻したニュースがありました。
また、生徒の減少で日本語教師を解雇した機関も多くあり(つまりリストラされた・失職した日本語教師が多数おり)、当面、日本語教師の雇用は、通常よりもさらに不安定な状態が向こう数年は続くものと思われます。

日本語学校も半年くらいは持つとは思われますが、それ以降は倒産する所がバタバタと出てくるかもしれません。

また、アフター・コロナになっても、オンライン授業の増加など、日本語教師の働き方や需要が大きく変わる可能性があります。特にこの1,2年は変動が激しいので、どのように変わっていくか、しばらく様子見をしたほうがよいでしょう。

ブランクが生じると就職に不利

前述の通り、すでに日本語教師になっている人数だけで、数字上の需要は満たしている状態です。また、今後大きく日本語教師としての働き方自体が変わっていく可能性があります。

日本語教師に求められる素養も変わってくる可能性があります(例えば、資格を持っていても、パソコンやオンラインのネットワークに強くなければ採用されない等)。現行の文化庁届け出受理の日本語教師養成講座のほとんどは旧態依然で、こうしたオンラインでの授業ができる日本語教師の養成にはあまり対応できていません。

そのため、今、新たに資格を取ったとしても、すぐに就職できるとは限らず、資格取得後、ブランクが生じると、就職に不利になります。

学んだことを忘れてしまうので、面接の模擬授業で失敗したり、就職したとしても「しんどい」ことになり、すぐ離職してしまうことにつながりかねません。

採用側も、資格取得からブランクがある未経験者はあまり採用したがりません(よほどの応募者不足のブラックな日本語学校などは除く)。

さらに長期な視点で見てみると

コロナに関係なく、日本語教師の需要というのは、今がピークだと言われています。

現在は、日本政府が外国人に対してビザを緩和したため、訪日外国人が増えただけであって、日本そのものの人気が自然発生的に上がったわけではありません。

向こう10年~20年で、アジアの国々の隆盛に従って、相対的に「日本や日系企業で働くことの価値」は失われていきます。それに伴って、日本語の需要、つまり日本語教師の需要も落ちていくと思われます。

例えば、日常生活においても、昔は家電大国だった日本ですが、すでに日本製の家電を探すのも難しくなってきています。日本のメーカーであっても、海外の工場で作られているため、日本における産業の空洞化は顕著です。日系企業も海外の企業に買収される事例が相次いでいます。

前述の日本が外国人に対して「ビザを緩和」したのも、少子高齢化および「日本で売るものがなくなってきた」ためです。少子高齢化で内需だけでは国が成立しづらくなってきており、さらに産業の空洞化で売るものがなくなったため、ビザを緩和して外国人のインバウンドに期待しようという施策ですが、裏を返せば、日本の危機的な状況が垣間見えます。

そして不足するすべてを外国人で補おうというのも無理があります。

これから日本語教師になったとしても、また、公認日本語教師が制度化されても、日本語教師は7割以上が非常勤であることは変わりありません、→参考日本語教師は常勤と非常勤どちらが多いですか?
むしろコロナを経験して、日本語教育機関の経営者は、改めて常勤(専任)の日本語教師を多く抱えることのリスクを感じたことでしょう。今後はますます非常勤多用での経営にシフトしていくはずです。

以上をふまえ、日本語教師になることは慎重に検討には検討を重ねたほうがよいでしょう。

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