インハウス日本語教師

質問
Q. 会社員ですが、ここ数年、外国人社員の増加で、社内で日本語を教える機会も増え、日本語を教える楽しさを覚えました。現在の給料には満足しているのですが、日本語教師という仕事にも興味があります。会社を辞めて、資格を取って、ゼロから日本語教師として第二の人生を歩むのもありかな、と考えているのですが、迷っています。何かアドバイスありましたら、よろしくお願いします。

回答
A. そのまま今の会社にお勤めされながら、日本語教師の資格(検定合格や養成講座受講)を取って、インハウス日本語教師として働かれることをお勧めいたします。

インハウス日本語教師とは

インハウスとは「社内」「企業内」といった意味があります。例えば、独立した士業ではなく、会社などに雇用され、組織内で働く弁護士や税理士をインハウス弁護士、インハウス税理士などと呼ぶことがあります。

それと同じように、会社勤めをしながら、社内(組織内)や関係先の外国人従業員などに、専門性を持って日本語を教える「インハウス日本語教師」をお勧めします。

インハウスのメリット

会社を辞めて、ゼロから日本語教師をするよりも、インハウスで働くことにはメリットがあります。

 メリット1:収入の安定性

インハウスで働くことの一番のメリットと言えるのが、収入(給料)の安定性です。弁護士や税理士と違って、日本語教師は、ほぼ100%外国人(それもほとんどがアジア)依存の職業であるため、普通に日本語学校などで働く場合、待遇も悪く(給料が低く)不安定で、離職率も高いことでも有名です。

2020年の新型コロナウィルス感染症のようなことが起こると、一気に職を失います。2012年の中国のように、他国の政治情勢が変動しても大きな影響を受けます。日本国内で数年に一度は起きる大震災などの自然災害の影響も、外国人は過剰に反応するので無視できません。

こうした職を失うような大きな事態が10年に1,2回は生じるのが日本語教師の業界です。日本語教師専業の場合、こうした事態に対して「ゼロか100か」になってしまい、ゼロになっていざ転職しようにもつぶしが効かないというディメリットがあります。
一般企業では「教員経験者は使えない」という認識があるからです。数年、教師として教壇に立っていると、己の威厳保持のために「上から目線での物言いや知ったかぶりが身についてしまう」「他人の間違いや粗探しにばかり奔走する」「利益計算(コスト意識)に疎い」「自分の主義主張・理想ばかりを押し付けてしまう」傾向があるため、「使えない人材」ということで教員経験者の採用には消極的です。

インハウスで働く場合、「日本語を教える」部分以外の会社員としての給与も確保できるため、「日本語教師一本」に絞るより、少なくとも給与面でのリスクを下げることができます。

 メリット2:学習者のモチベーションが違う

インハウスで会社がらみでの日本語学習者は、実際にビジネスでそれなりのレベルの日本語を使わなければならない(習得しなければならない)状況にある人が多く、それなりの人材が、それなりの高いモチベーションを持っているので、比較的教えるのが楽しい環境にある(おいしいとこ取り)と言えます。

一方、一般の日本語学校の場合、残念ながら、学習者のモチベーションはピンキリで、日本には就労目的で来て、日本語学校での授業中は寝ている・・・という問題点がよく報道されている通りです。
就労できるビザを得るために、形だけ日本語学校に籍を置き、それほど高い日本語レベルを求められない単純労働職(場合によっては違法就労)に勤しむ人が少なくなく、そうした職場環境の悪さも、日本語教師の離職率を高める原因になっています。

日本語学校の専任の日本語教師ともなると、「日本語を教える」という部分以外にも、例えば、事件を起こした生徒の身元引受人として警察署まで引き取りに行ったり・・・など、この業界のブラックな雑務面も担わざるをえなくなります。日本語教師の離職率が高いのは、そういう一面も多分にあるためです。

 メリット3:会社にとってもwin-win

グローバル化と人手不足が顕著な現在、日本の一般的な会社であっても、外国人と関わらざるをえない状況であり、社内に日本語を教えられる人材が存在していることは、勤めている会社にとっても重宝する存在といえます。

外資系企業に限らず、例えばファミレスやコンビニ・チェーンでも外国人の雇用は不可避であり、社内で日本語をきちんと教えられるスキルを持つ人間が求められています。

そうした会社では、日本語の研修を日本語教育機関に外注する、という方法もありますが、外注は費用が嵩む上に効果は未知数です。
一方、社内事情が分かっている内部の人間に日本語教師がいれば、話は早いですし、現場をよく知っている人間が教えたほうが説得力もあり、効果的です。

コスト面でも外注するより、社内の人間に「日本語を教える特別手当て」などとして支給したほうがコストも抑えることができます。一方、社員側はその分、給与の増額が期待できます。

教えるための教材費や講座の受講費用なども、会社勤務であれば経費で落としやすいでしょう。

「社内で日本語を教えること」をスキルとして明確化することで、会社にとっても、本人にとっても、win-win の関係を構築できる可能性があります。

 メリット4:働きながら資格を取りやすい

日本語教師の資質の証明としては、(1)日本語教育能力検定試験合格や(2)420時間の養成講座修了、(3)大学で日本語教育を主/副専攻などが、いわゆる「資格」として見られる場合が多いですが、社内で教える場合は、資格は自由です。

法務省告示機関(日本の日本語学校など)で教えるわけではないので、その規定に準ずる必要はなく、例えば、日本語教師養成講座も、必ずしも「文化庁届け出受理の講座でなければならない」や「公認日本語教師でなければならない」という縛りはありません。四大卒でなければ教えてはいけない、という決まりもありません。

インハウスの場合、比較的自由な資格(資質の証明)で自由に働くことができますので、それだけハードルも低く、働きながらでも十分「資格」は取ることができます。「資格」取得のために会社や所属する組織を辞める必要はありません。

そのため、以下のように、現在の会社に勤めながら、通信の日本語教師養成講座で教え方を勉強される方もたくさんいらっしゃいます。

会社の留学生に教えている
会社の留学生に日本語を教えている時に自分に向いているのではないかと考えました。通信制の大学で少しだけ言語学を受講していたことも影響していると思います。世界で仕事ができる可能性を秘めていると思います。よろしくお願い致します。(豊島区ご在住38歳男性)

客船でのおもてなし
大型客船の乗組員として働いており、1つのパフォーマンスとして外国人のお客様に日本語を教える日本語講座を船内で開催したりするため、本格的に日本語教師としての勉強をしたかった。(長崎県ご在住の42歳女性)

内部の自分が日常的に教えたほうが
現在、外国人社員を管理する仕事をしています。外部から日本語教師を招いて授業をしてもらっているのですが、週に1度の授業では今一つ効果がありません。私が日本語教師の勉強をし日常的に指導できればもう少し日本語力UPを見込めるのでは?と思い、通信で受けられる日本語教員養成課程の講座の受講を検討しています。

日本語教育の専門知識
フィリピンのコンサルティング会社にて日本語をITエンジニアに教える仕事をしています。私個人は、大学の専門が言語学、また海外にて英語教授法のTESOLを取得しているのですが、やはり日本語教育専門の知識、資格を持っているほうが良いのではないかと思い御社の通信コースの受講を検討しております。(マニラご在住の43歳男性)

医療現場にて
日本の国際化で外国人労働者が増え、日本語教育の重要性が高まっておりますので、指導できる力を身に着けたいと考えております。(千葉県ご在住の医療事務の女性55歳)

米国企業にて
現在、米国の日系企業にて通訳・翻訳業務に携わっております。社内での日本語学習熱が高まっており、アメリカ人にときどき日本語を教えています。しかし、系統だった教育方針がなく自己流で教えております。御社の日本語教師養成420時間総合講座では英語での教育方法(間接法)を教えていただけるとのことで、すべて通信講座を希望です。(アメリカ・アラバマ州ご在住の57歳女性)

外資系企業にて
外資系企業で勤務しており、外国人従業員に日本語を我流で教えています。体系立てられた教え方を身に着けたく、また、英語で日本語を教える教授方法を取得できる本コースを選びました。日本語教師の資格も取りたいと思っています。(57歳女性)

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日本語学校に勤めるだけが日本語教師ではありません。日本語教師の働き方は本来、自由で多様性に富んでいるものですので、ご自分が今いる環境をうまく活用しながら、少しずつ領域を広げていくようなイメージで臨まれるとよいでしょう。

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