オーストラリア政府が2012年10月28日にAustralia in the Asian Century White Paper-「アジアの世紀の中の豪州」白書-を発表しました。
この白書では、オーストラリアは今後、成長著しいアジアとの関係を強め、この中で日本(語)及び日本語教師関連としては、

All students will have continuous access to a priority Asian language—Chinese (Mandarin), Hindi, Indonesian and Japanese.

(アジアに通用する人材育成のための優先課題の一つとして)オーストラリアの小中高校で優先的に学ぶべき外国語として中国と日本、インド、インドネシアの4ヶ国の言葉を指定しました。(韓国語はないようです。)

「アジアの世紀の中の豪州」白書
Australia in the Asian Century White Paper

オーストラリア「アジアの世紀」白書 -
http://asiancentury.dpmc.gov.au/sites/default/files/white-paper/media-releases.pdf

といっても何かこれまでのオーストラリアの教育事情と何かが格段に変わったわけでもなく、オーストラリアはこれまでも1980年代の日本がバブル期の頃より2000年初等にかけてオーストラリア全土の小学校(プライマリースクール)や中学・高校(セカンダリースクール)などで日本語教育を熱心に取り入れており、長年、多くの日本語教師や日本語教師アシスタント・ボランティアが活動してきました。

しかしながら、オーストラリアにとっての最大の輸出(総額)国は、2008年まで日本が1位でしたが、2009年からは中国が1位となり、最近では中国重視の姿勢がオーストラリアでは目立っており、今回の白書も全体的に中国重視の仕立てとなっています。

この経済情勢に伴うように、オーストラリアで日本語教師になるにはでもお伝えしているように、オーストラリアの学校教育の現場では、日本語に変わって中国語(マンダリン)が優先して教えられるようになり、日本語クラスを廃止する学校が特に2007年頃から顕著に増えているのも実状ではあります。

これはオーストラリアの首相を2007年から2010年まで務めたケビン・ラッド前首相が大の親中派だったことも少なからず影響を与えていたといえます。ラッド首相はオーストラリア国立大学で中国語と中国史を専攻し中国政府関係者と会談する際は流暢な北京語を話すなど、当時野党から「中国に傾きすぎてないか」と揶揄されるほどでした。

欧米圏でも日本語教育が盛んな2ヶ国のうちの1つ、ニュージーランドでも中国との関係強化、日本語教育の衰退をお伝えした通りですが、オーストラリアの学校教育の現場では今後も中国語重視の傾向は続きそうですが、何とか今回のこの流れに便乗して再び日本語教育も息を吹き返してほしいところです。

その他、今回のオーストラリアの白書で注目すべき点としては、

$41.2 million to support flexible delivery of language education including online materials for teaching students in key areas including about Australia’s engagement with Asia

とこれからオーストラリアでの外国語学教育を促進するため、オーストラリアでのITインフラの整備などに4120万ドルを投じてオーストラリアとアジアの学校をインターネットで結んだ遠隔教育を普及させる、とのことで、今後、オーストラリアの子供達に日本語を教える方法は、必ずしもこれまでのようにわざわざオーストラリアに物理的に行って教えるという形だけでなく、日本にいながらオーストラリア人にオンラインで日本語を教える、といったスタイルが主流になっていくのかもしれません。

実際、最近は日本でもオンラインで日本語を教える日本語教師の求人なども増えてきており、日本語教師の働くスタイルとして、オンラインで教えるスタイルも視野に入れて就職活動をしていくとよいでしょう。

ちなみにオーストラリアでは英語を使って日本語を教える間接法にて日本語レッスンは展開されます。日本の日本語教師養成講座では日本語で日本語を教える直接法しか教えてくれない養成学校がほとんどですが、このように学習者の母語が英語オンリーの場合などやオンラインでのレッスンでは英語を使った間接法で教えるケースが多いので、こちらの英語で教える間接法も学べる日本語教師養成講座などで、オーストラリアほか海外の様々な生徒に幅広く対応できるよう、日本語教師のスキルアップを図っておくとよいでしょう。

2012年10月29日
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