1. 日本は少子高齢化で、これから外国人をどんどん呼び込むので、
  2. 外国人留学生や外国人労働者が増加し、
  3. 日本語を教える日本語教師の需要は増える

・・・というのが、日本語教師がらみの資格商法の一般的な謳い文句となっていますが、はたして そううまくいくでしょうか。

確かに一時的にはそうなるかもしれません。

しかし、少子化での人口減少には原因があります。日本人が子どもを育てたくない(育てにくい/必要としない)環境や社会構造・世界情勢なのに、同じ人間である外国人が、(例え日本経済・・・日本円の価値が現状通り失われ続けていっても)積極的に日本に住みたいと感じ続けてくれるでしょうか。

日本語教師の需要と将来性

結論から言うと、長期的にみれば、日本語教師の需要および将来性は厳しい(楽観できない)というのが正直なところです。

日本語教師という職はなくなりはしないものの、引き続き細々としたものであり、登録日本語教員制度も「焼け石に水」どころか、むしろ逆効果で、国内での日本語教師不足に拍車をかける可能性があります。

日本と世界の人口推移

国連の推計によると2015年の世界の人口(年央推計)は73億人で・・・2030年までに世界の人口は85億人に達し、2050年には97億人に増加するものと予測されている。(国際連合広報センター)
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/social_development/population/

人口的にも、経済的にも、日本語の需要(=日本語教師の需要)は、世界的に失われていくのは避けられません。

日本の人口減少は周知の通りなので省略しますが、経済的にも過去30年間の産業の空洞化で、日本では売るものが枯渇しつつあり、最近は観光資源さえも切り売りして、なんとか生計を立てているような状況になってきています。それもかなりの安売り状態です。

そして、日本円の価値は低下の一途で、日本にわざわざ外国人が来て働いて(しかも多くが3k労働職)、円を稼ぐことに意味がなくなりつつあります。

また、今後は「外国人の、外国人による、外国人のための日本語教育」も増えてきますので、日本人の専売特許だった日本語教師という職においても、日本人はそれほどの数は必要ではなくなってくることが予想されます。

需要はアジアのみ

数年おきに世界の日本語学習者数などの調査結果が発表されますが(下記ランキング参照)、ここ数年はあまり変わりませんし、小さな増減に一喜一憂しても意味はありません。結局、いつまでたっても需要はアジアのみです。

日本語教師の資格を取ったからといって、世界のどこでも働けるというわけではありません。日本国内での日本語教師の就職活動と同じような要領で、国内の「日本語教師の資格」と履歴書と職務経歴書を持って、日本国内と同じように就職活動できる国は、主にアジア(主に東南アジア)に限られています。それもアジア各国基準の低賃金となります。

そのため「アジアの人々のお世話が好きで好きでたまらない」という方でなければ日本語教師は全うできないといっても過言ではないでしょう。

欧米圏ではアメリカとオーストラリアが10位圏内に入っていますが、これはいわゆる一般的な日本語教師の就職先としてはカウントできません(→下記「欧米圏」参照)。

また、例え国家資格(登録日本語教員)化しても、顧客層がアジアであることには変わりませんので、日本語教師の待遇等が大幅に改善されることは期待できません。顧客層が不安定ですので、「非常勤」主体の職であることも変わらないでしょう。

今がピーク

全体的な日本語学習者は増えていますが、これは日本国政府がビザを緩和したからであり、日本や日本語の人気が自然発生的に上がっている、というわけではありません。

なぜビザを緩和したかというと、日本は売るモノが無くなってきたからです。例えば、この10年(2010-2020年)で、日本製の家電はほとんど消えてしまいました。産業が空洞化し、外国にすべて吸い取られてしまったので、いよいよ国内の「労働市場」や「観光資源」等の外国人への販売に手を出し始めた、ということです。

2030年には日本車を見かけるのも珍しくなるかもしれません。コンテンツ産業(アニメ・ゲームなど)の優位性も時間の問題です。日本の経済の優位性、日本語を学ぶことのメリットが失われていっており、日本語需要は今がピークで、今後5年、10年単位で見れば、明らかに減っていくものと思われます。

※注:アジア圏での外国人日本語教師の育成が始まりましたので、今後、アジア圏においても、日本人の日本語教師はそれほどの数は必要なくなってくる可能性があります。
→詳細:競合(共存)と外注が進む日本語教師の今後

また、日本は現状、IT後進国なので「人手不足」(→外国人労働者が必要)な状態に陥っていますが、IT化が進んで行けば、人手もそれほど必要ではなくなってきます。

さらに、現在のペースでA.I.の言語処理の深層学習が進んで行けば、5年、10年後くらいには、日本語教師の数もそれほど必要ではなくなってくる可能性がありますし、別記の通り、学習者の母語を話せる外国人日本語教師の育成も進み、今後増加していきます。つまり、日本語は日本人の手から離れていく、ということです。

日本語学習者数ランキング

2020年

日本語学習者が多い国(地域)日本語を学びに来日学習者数と国籍(地域)
1位:中国(1,004,625人)↑
2位:インドネシア(709,479人)↓
3位:韓国(531,511人)↓
4位:オーストラリア(405,175人)↑
5位:タイ(184,962人)↑
6位:ベトナム(174,521人)↑
7位:台湾(170,159人)
8位:アメリカ(166,905人)↓
9位:フィリピン(51,530人)↑
10位:マレーシア(39,247人)↑
※国際交流基金「2018年-海外の日本語教育の現状」より
1位:中国(91,547人)↑
2位:ベトナム(62,117人)↑
3位:ネパール(14,246人)↑
4位:韓国(11,593人)↑
5位:フィリピン(10,125人)↑
6位:台湾(8,734人)↑
7位:ブラジル(8,159人)↑約倍増
8位:インドネシア(8,083人)↑
9位:アメリカ(5,628人)
10位:タイ(4,518人)
※文化庁「令和1(2019)年 国内の日本語教育の概要」より

【2020年現在のまとめ・概要】
日本国のビザ緩和(いわゆる「移民政策」の大きな変更)により、全体的には日本語学習者は増えていますが、基本的には前回調査とあまり変化はありません。
気になるのは「親日国」台湾での学習者の減少です。米中対立による英語教育の強化が原因と言われていますが、日本の経済力低下による「日本語を学ぶことのメリット」が失われつつあるのも影響しているのではないか、とも考えられます。

2017年(2015年)

※2017年現在の最新の調査結果が2015年のものになります。

日本語学習者が多い国(地域)日本語を学びに来日学習者数と国籍(地域)
1位:中国(953,283人)
2位:インドネシア(745,125人)
3位:韓国(556,237人)▼33.8%減
4位:オーストラリア(357,348人)↑
5位:台湾(220,045人)↓微減
6位:タイ(173,817人)↑1.3倍増
7位:アメリカ(170,998人)↓
8位:ベトナム(64,863人)↑1.39倍増
9位:フィリピン(50,038人)↑
10位:マレーシア(33,224人)↓
※国際交流基金「2015年-海外の日本語教育の現状」より
1位:中国(63,520人)-微減・順位不変
2位:ベトナム(26,409人)↑3倍増
3位:ネパール(9,681人)↑3倍増
4位:韓国(9,597人)
5位:フィリピン(5,685人)↓
6位:台湾(5,839人)-微増・順位不変
7位:アメリカ(5,157人)-微増・順位不変
8位:インドネシア(3,832人)↑微増
9位:タイ(4,241人)↓不変・順位下落
10位:ブラジル(4,615人)↓微減・順位下落
※文化庁「H27(2015)年 国内の日本語教育の概要」より

【2017年現在のまとめ・概要】

  • ASEAN・・・今後の日本語教師の主な活躍の場(顧客層)。インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオスで日本語学習者及び日本への留学生が急増中。ASEANで人口5億人を超える大きな市場。特にVIP3ヶ国(Vietnam, Indonesia, Philippines)との関係は経済連携協定(EPA)などにより、今後大きな伸び白が期待でき、ベトナムには多くの日系企業が進出中で、中国を超える勢いで求人数が増加しています。
  • インド・・・2024年に人口16億で中国を抜く巨大市場、’14年モディ首相が世界に先駆け来日、日本語教育環境も強化。日本との良好な関係国で今後、要注目。
  • 中国・・・日本語学習者は横ばい または微減。
  • 韓国・・・前回調査から33%以上の激減。世界で一番日本語学習者が激減中の国と言えます。

こうした変化はこちらの日本語教師の求人情報にも如実に現れています。

【2012年から2015年にかけての変化】
「日本語学習者が多い国(地域)」では、上位1~5位の順位自体は変動ありませんが、その内訳を見ると、韓国でのさらなる激減ぶり(33.8%減)が世界でも際立っています。この原因は、対日感情の悪化や、初等・中等教育で英語教育に力を注ぎ、それ以外の第二外国語を選択科目から外したことなどが影響していると見られます。
上位3ヶ国は頭打ちないし減少傾向であり、やはり今後の需要はASEAN各国頼みとなりそうです。

英語圏ではオーストラリアとイギリスが、若干、増加していますが、これは初等教育において、外国語教育のカリキュラムの改定による学習者増とみられ、残念ながら、日本語教師の就職先が直接、広がることにはつながらないでしょう。(例えば、小学校で教えるには現地教員と同じく現地の教職員免許を取らなければならない、など条件が厳しく、こうした現場では日本語教師アシスタントなどのボランティアとして活動するぐらいしか機会がないことがほとんどだからです。)

「来日学習者数と国籍(地域)」では、ベトナムとネパールからの増加が際立っています。

2012年

日本語学習者が多い国(地域)日本語を学びに来日学習者数と国籍(地域)
1位:中国(1,046,490人)↑
2位:インドネシア(872,411人)↑
3位:韓国(840,187人)
4位:オーストラリア(296,672人)↑
5位:台湾(233,417人)
6位:アメリカ(155,939人)↑
7位:タイ(129,616人)↑
8位:ベトナム(46,762人)↑
9位:マレーシア(33,077人)↑
10位:フィリピン(32,418人)↑
※国際交流基金「2012年-海外の日本語教育の現状」より
1位:中国(64,172人)
2位:韓国(10,573人)
3位:ベトナム(8,154人)
4位:フィリピン(5,811人)↑
5位:ブラジル(5,690人)↓
6位:台湾(4,829人)↓
7位:アメリカ(4,595人)↓
8位:タイ(4,286人)↑
9位:インドネシア(3,278人)↑
10位:ネパール(3,044人)↑
※文化庁「H24年(2012年)国内の日本語教育の概要」より

【2009年から2012年にかけての変化】
2009年から2012年にかけての変化として「全体的な日本語学習者数の増加」が挙げられます。特に、前述のようにASEAN各国(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン等)での日本語学習者数増加が顕著で、全体のボトムアップに貢献しています。
反面、特に韓国での激減ぶりが目立っており、前回比12.8%以上の激減。今後も韓国での減少は続くものと推測されます。

また、特筆すべきは、2011年の3.11東日本大震災(地震)の影響。日本留学者の帰国や、日本への留学取り止めなど、日本語学校の経営をはじめ、日本語教育も大きな影響を受けました。外国人に依存する日本語教育ビジネスは、水物で砂上の楼閣的なリスクがあることも、多くの日本語教育従事者が思い知らされたのではないでしょうか。

明るい兆しとしては、経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアやフィリピンなどで、看護師・介護福祉士の日本受入が実施されていることからも日本語への関心が高まっていることです。EPAでの看護士や介護福祉士の運営状況はまだまだ諸問題を抱えていますが、国際交流基金などが来日前のインドネシア人に日本語を教えるための日本語講師などを派遣しており、今後もインドネシア、フィリピンでの日本語の需要増加が見込まれます。

2009年

日本語学習者が多い国(地域)日本語を学びに来日学習者数と国籍(地域)
1位:韓国(964,014人)
2位:中国(827,171人)
3位:インドネシア(716,353人)
4位:オーストラリア(275,710人)
5位:台湾(247,641人)
6位:アメリカ(141,244人)
7位:タイ(78,802人)
8位:ベトナム(44,272人)
9位:香港(28,224人)
10位:カナダ(27,488人)
※国際交流基金「2009年-海外の日本語教育の現状」より
1位:中国(83,934人)
2位:韓国(17,094人)
3位:ベトナム(8,123人)
4位:ブラジル(6,457人)
5位:アメリカ(5,579人)
6位:台湾(5,020人)
7位:フィリピン(4,921人)
8位:タイ(3,240人)
9位:インドネシア(3,165人)
10位:ペルー(2,907人)
※文化庁「H22年(2010年)国内の日本語教育の概要」より

これまで2010年頃までの一般的な日本語教師の海外の勤務先としての主要国および日本に日本語を学びにやってくる学習者の国籍(地域)は中国と韓国でしたが、経済及び国際情勢に相まって、今後、変動していくことが予想されます。

アジア市場開拓日本語の需要は経済情勢に比例する(日系企業の進出/日系企業の工場で働く→日本語を学ぶことは生計につながる→日本語教師の需要発生・増加・・・という図式が成り立っている)ため、オリンピック景気(気運)で盛り上がった2020年以降は、日本国の経済力の低下に伴い、日本語教育の需要(=日本語教師の需要)は全体数としては徐々に衰退しながら、主にインドネシア、タイ、ベトナムなどを中心とした東南アジアが日本語教育のメインの対象となっていくことでしょう。

ただ、こうした新興国も、自分の国がある程度発展してくると、日本への出稼ぎ(留学)も減ってくるという将来的なリスクは存在します。誰しもが、本音では母国で働き、母国で生活するのが一番と感じる人がほとんどだからです。

欧米圏での需要や将来性

欧米圏ではアメリカとオーストラリアが日本語学習者数で10位圏内に入っていますが、これは現地の小中高校の外国語選択/必修科目での日本語学習者がカウントされているためです。

日本の「一般的な日本語教師」が、日本国内での就職活動と同じような要領で「履歴書を持参すれば米豪で働ける」というわけではありません。小中高校で働くには、現地の大学に通い、現地の小中高校教員免許を取得し教員になる必要があり(それは日本で言う「日本語教師」とは異なります)、日本でいうところの「一般的な日本語教師」の資格では就職できません。

そして米豪では、小→中→高校 と学年が上がるにつれ、日本語科目選択者はいなくなります。そのため、米豪で社会人が通う日本語学校的なところはほとんどありません。多少あったとしても、日本語教師ではビザが取れません。つまり、「一般的な日本語教師」の就職口は米豪にはありません。

日本経済がバブル期のように世界を圧巻することはこれからはもうありませんので、欧米圏や先進国については、今後もあまり日本語の需要増加は期待できません。

国内での需要や将来性

欧米圏や先進国での需要は期待できないので、結局、日本語教師は日本国内かアジア地域でやっていくしかありません。しかし、アジア圏では物価が安いので比例して給与も低くなりますので、実質的には日本国内が働き先が主たる選択肢になってしまうでしょう。

前述の通り、日本国政府がビザを緩和しているので、外国人の増加に比例して、日本語の需要は増えていますが、今がピークと思われます。国際的にも労働市場の競争は激化するので、10年先も今の需要が続くかは定かではありません。

また、新型コロナウィルス感染症のようなことが起きると、一気に職を失います。日本語教師はほぼ100%外国人依存の不安定な職だからです。

コロナ禍に限らず、地震などの自然災害というリスクも日本は背負っており、外国人は日本人よりもこうしたリスクに過剰に反応するので、日本語教師もその都度、不安定になります。

また、法務省及び文化庁が新基準にて、日本語教師の資格の門戸を狭めてしまったので、今後も日本語教師は「成り手が少ない」わりには「待遇も良くない」という厳しい状況が続くことが予想されます。

もし国家資格(登録日本語教員)化しても、顧客層が外国人ベース、しかもほぼアジアオンリーということに変わりないので、待遇改善はそれほど見込めません。

需要や将来性のまとめ

日本語の人気のピークは日本経済が世界を圧巻していた1980年代バブル~1990年代~2005年頃迄です。

  • 1980年代~バブル経済で日本が世界を圧巻、日本語を学ぶことがメリットに
  • 1990年代~そのため、各国で日本語教育が普及
  • 2000年代~上記の残像で「持った」10年。日本語学習者は隣国の中韓2ヶ国に依存
  • 2010年代~日本語学習者は中韓2ヶ国からASEAN新興国に推移中
  • 2020年代~ビザ緩和・東京五輪バブル後、日本語需要の真価が問われる
  • 2050年頃までに日本の人口1億人割れ

これから日本語教師を目指される方は、ご自身の適性・・・例えば、

  • 自分は本当にアジア人のお世話が好きで好きでたまらないか?
    (欧米人相手に教えられたらいいなぁ~という、ふわっとした妄想を持っていないか?)
  • 職や給与に安定を求めていないか?
  • 誰から止められても私は日本語教師をやるんだ!という強迫観念(不屈のモチベーション)をちゃんと持っているか?(他人に日本語教師になろうかどうか相談しているような人、他人からの後押しを期待している人は務まらない/続けられないです。)

などを心底、自問自答した上で、進路選択をされることを推奨いたします。

関連Q&A

Q1.豪・NZ・米国では簡単になれるのでは?

Q. オーストラリアやニュージーランド、アメリカは日本語学習者が多い/日本語教育が盛んとよく聞きます。ということは日本語教師に簡単になれるのではないですか?

A. いいえ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカなどの欧米圏で日本語教師になること、そして日本語教師としてやっていくことは非常に困難です。

まず、これらの国で「日本語教育が盛ん」といっても、その日本語学習者の内訳(実状)がアジア各国と異なるということを押さえておかなければなりません。

【能動的・積極的学習者のアジア】

アジア各国では、日本語を学ぶことが将来ないし現在の仕事に有利、という生計に直結するというモチベーションがあるため、「積極的日本語学習者」がわざわざお金を払ってまで民間の日本語学校などで日本語を習っている学習者がいます。そのため、公立の学校機関のみならず、民間の語学学校でも日本語教師の求人があるわけです。

【受動的・消極的学習者の欧米】

それに対し、欧米圏の中でも日本語学習が盛んと言われているオーストラリアやニュージーランドなどの日本語学習者は、小学校・中学校・高校などで外国語の選択科目として日本語を選択している子どもが単に多い、つまり「何となく(趣味的に)日本語を学んでいる人が多い」というだけです。必ずしも生活がかかっているわけではないので、そのモチベーションは脆弱です。そして日本語では試験で高得点が取れないため、学年が上がるにつれ、日本語学習から離脱していきます。例えば低学年では100人いた日本語学習者も、卒業する頃には5人くらいしかいない、というのが実状です。→参考:[ オーストラリアで日本語教師になるには ]

またこれらの国々では日本語学習者の学習の場は上記のように小・中・高校ですから、そこで日本語を教えるには、その国の大学などで教職課程を履修して小・中・高校の教員免許を取らなければならない、場合によっては他の科目も教えなければならないため、すでに現地にいる日本語教員数も数が足りているため、実質的に、日本語教師単品でその国で就職する、というのはほぼ無理なのです。

日本語教育の学習者が多く、ランキングに入っている国だからといって、そのランキング順に安易に日本語教師になりやすい国であるというわけではありません。その数字の内訳と実状はまったく異なりますので、注意が必要です。

Q2.今後の需要や将来性がある国は?

Q. 日本語教師の就職先として、韓国や中国が今後微妙なのはわかりました。それでは今後、日本語教師の勤務先として、需要があり将来性がある国はどこでしょうか?

A. 端的にいえば、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々です。
また、EPA(経済連携協定)に基づいた看護師・介護福祉士の日本受入制度が実施されている国は、日本や日本語への関心が高まる傾向があり(つまり日本語教師の需要が高まるということです)、かつEPAというのは日本が「それなりの国」とお墨付きを与えていることでもあるので、インドネシア、ベトナム、フィリピンを中心とした東南アジアが、これまで以上に日本語教師の需要と将来性が見込める国として挙げられます。

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