大学院卒

質問
Q.私は将来、海外を含め、大学で教える日本語教師になりたいと考えています。大学で日本語教師をするには、大学院卒でないと採用されないと聞き、大学院に進学して修士号を取ってからとなると数年後の話になってしまうので、どうしたものかと思案しています。やはり大学院卒は必須でしょうか。

回答
A. 大学で日本語教師をやる場合ですが、必ずしも大学院卒でなければならない、というわけではありません。

日本国内

もちろん、(特に日本国内においては)修士号を求めている大学勤務の求人は多いですが、現在勤めている日本語教師の全員が院卒、というわけでもないようです。単にツテ(コネ)があったから、大学で教えるようになった、という人もいます。

実際、日本の大学で教えるものであっても、院卒は求めていない求人は散見します。

海外

また、さらに海外においては「大学院卒 必須」というハードルがない大学勤務の日本語教師の求人は多々あります。

実際、現在、こちらの中国の日本語教師や教職の求人情報に、大学勤務の求人が何件か届いていますが、応募資格(採用条件)として、大学院卒は課せられていないものが複数あります。

といっても怪しい大学ではなく、中国の「211工程」に選出されている国家重点大学であったり、中国の「985工程」(211工程の中で限られた重点大学に重点的に投資していくプログラム)の、それなりにレベルが高い大学であったりします。

他のアジアの国々、例えばベトナムやフィリピンなどの大学勤務の日本語教師に関しても同様です。

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「大学で日本語教師をやるには大学院卒(修士)でなければならない」というのは、おそらく一般論かと思われますが、一般論というのはだいたい60-70%ぐらいにしか当てはまらない一種の「偏見」でしかないことも多々ありますので、残りの30-40%に該当するかもしれない質問者さんに必ずしも当てはまるとは限りません。

あまり一般論を鵜呑みにしてしまうと、せっかくの人生の幅を狭めてしまうことにもなりかねません。

広く、数多くの求人情報に当たることで、可能性は広がっていきます。

その他注意点

1.大学とは研究をしに行くところ

よく、民間の日本語学校の延長で、大学のほうが待遇や世間体な見栄えが良さそうだから・・・という背景から「大学で日本語教師をしたい」と考えていらっしゃる方が多いようなのですが、大学はあくまで教授として研究をしにいく所です。

ご自身が日本語教育等において、何か研究テーマを持っていて、それについて生涯、研究を続けていくことがメインであり、その傍らで「日本語を教える」という業務も担う、ということになります。「日本語を教える」部分はあくまで「サブ」であり、「オマケ」です。
そのため、研究テーマ(専門分野)を持っていないと、大学での就職というのは本末転倒ということになります。

2.就職先としての大学は先細り

ただでさえポジション数が少ない大学勤務ですが、昨今の少子高齢化で大学は統廃合を繰り返しており、事実上、勤務できるポジション数というのが、年々、少なくなっていっています。ましてや「日本語」という分野になるとなおさらです。

確かに日本の人口減少、外国人労働者獲得(一種の移民政策)のためのビザ緩和等で、日本語学習者は増加し、留学生別科等も増える傾向はありますが、これも一時的でそうそう長くは続かない可能性があります。

日本語教育を取り巻く環境は、今後もますます厳しくなっていくことが予想されますので、その点も留意されておいたほうがよいでしょう。