海外の家の浴室・お風呂。
シャワーは壁に固定式が多く、日本のように取り外し可能なホース式ではない。
中にはシャワーの水の出口が壁ではなく、天井固定式で、ただ垂直に落ちてくる水を受けるだけ・・・という形式(ドリップ式)もあります。そのため、「下の方」が洗いにくい・・・
ホームステイ先でのシャワーの時間について
Q. 留学前の準備は何をすればよいですか?よく海外留学のホームステイではシャワーを短時間に済ませるような案内があるんですが、本当ですか?
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A. はい、本当です。と言っても、必ずしもすべてのホームステイ先がそうであるとは限りませんが、全体的に、シャワーやお風呂の長時間利用はあまり好まれない傾向があります。
幼稚園ボランティアや日本語教師アシスタントで海外へ渡航される方々から、上記のようなご質問をよく受けるのですが、もちろん、みなさん、留学や海外出発前の準備として、
- 物(服や持ち物、PC)
- 英語
- お金
・・・といった準備には自然と意識はいくかと思いますが、意外と見落とされているのが、シャワー(お風呂)の時間を短く済ませられるよう練習しておく、ということです。
というのも、以下の理由があるからです。
1.水資源
一般的に、欧米圏(アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど)は日本ほど、水資源や水まわりが豊かではありません。(日本は世界でも稀に見る「水資源大国」なのです。)
ホームステイ先の一般家庭などは、通常、各家庭に設置されている貯水タンクに水を貯めておいて、それを生活用水全般(家事やシャワーなど)に使うのですが、だいたいどこの貯水タンクも5-10分程度、水を使い続けると空になってしまい、ゼロになったタンクをまたしばらく時間をかけて貯めなおさなければなりません。
そのため、日本人留学生がホームステイする際によくあるトラブルが、日本人のシャワー(お風呂)の時間が15-30分と長すぎて、その家のタンクの水を使い切ってしまい、日本人が浴室を使っている間、ファミリーはトイレも流せなかったり、食器も洗えなかったり・・・といった事態が発生し、ホストファミリーから、「シャワーの時間は5-7分程度以内に終わらせて!」といったクレームが起きてしまうことになります。
これまで日本人の受け入れ経験があるホストファミリーなら、ホームステイにチェックインした段階で、シャワーの時間等について注意してくれることが多いです。
2.アカスリは体に良くない!?
欧米人はあまり長くお風呂(シャワー)に入る、という習慣も持ち合わせていません。
「カラスの行水」という言葉がありますが、ほとんどの欧米人が、上から下に水(お湯)を落とす(=drip)程度で、ほんとに5分程度でシャワー時間を終わらせてしまいます。
なぜなら欧米人は、アカスリなどで体をこする、という習慣を持っていない場合が多く(というよりも、体をこすりすぎるのはあまり良くない、という認識を持っている)、例え「こする」場合も、やわらかいスポンジで軽くなでるように、という習慣の方がほとんどだからです。
こすって臭いや汚れを落とすより、香水で「におい物にはフタ」文化が発達しているのが欧米圏です。
アカスリで体をゴシゴシこすって垢を取る、というのは湿度が高いアジアならではの習慣。
そして、お風呂の時間が長いのも、水資源が豊富なアジア、特に温泉大国の日本ならではの習慣なのです。「湯水のように○○を使う」という表現がありますが、これは水資源が豊富な日本ならではの表現です。
3.農耕民族と狩猟民族
また、アジア人は農耕民族で、特定の地に農業をしながら固定して生活するのに対し、欧米人は狩猟民族で移動しながら生活する、そのため、体を洗うのも短めに、食べ物も移動しながら片手で食べられるハンバーガーやパンなどが主流・・・といった文化的背景もあります。
シャワー時間の真意と対策
時間の真意
「シャワーは7分以内に」というと、7分という数字だけが独り歩きして大変なことに聞こえてしまうかもしれませんが、この7分という時間は、「シャワー室に入っている時間を7分以内に」とか「7分以内に浴室を出なければいけない」という意味ではありません。
あくまで、水(お湯)を流している水利用時間(水量)のことです。
対策
ですので、日本でもコインランドリーなどに設置してあるコイン式シャワー(5分200円とか7分200円とか)がありますが、それと同じ要領で使用すれば大丈夫です。つまり、こまめに蛇口を止めて、水(お湯)を流す時間がトータルで7分以内に収まればよいということです。
具体的には、例えば、
- 最初の1-2分で髪と体を濡らしてそこで一旦、蛇口を止める。
- 止めている間にゆっくり体を洗う(アカスリでこする等)。
- 続けて髪を洗う。ついでに顔も洗う。
- 最後の3-4分で全体を洗い流す。
といったように一旦、もしくは こまめに蛇口を止めることがポイントです。止めている間はゆっくり自分のペースで「作業」をすればよいのです。
コツは下(身体)から洗い始めて、最後に上(髪と顔)へ、と「下から上へ」の順番で洗っていき、一回一回洗い流したりせず、最後に一気に湯水で洗い流すことです。
水(お湯)を流す時間が合計で7分以内に収まっていれば、15分でも30分でも浴室内にいても大丈夫というわけです(但し、浴室利用時間は各家庭のルールによる)。
慣れてくれば、
- 最初の1-2分で髪と体を濡らしてそこで一旦、蛇口を止める。
- 止めている間に体と髪(下から上へ)と一気に洗う。
- 最後の5-6分で上から下まで洗い流す
といったように「習うより慣れろ」で、効率よくシャワーを使いこなせるようになります。
要は、各家庭の貯水タンク内の水を一気に使い切らないこと、こまめに止めることでシャワーへの水量と水圧独占を避け、キッチンその他の蛇口にも分散させること・・・などに気を遣うことがポイントです。
こういった生活に慣れておくと、万が一、日本で自然災害等に遭い、水不足の状態になったり、避難所生活などを送ることになった場合にも役に立ちます。
その他の水まわりの注意点
その他、ホームステイでの水回りの生活習慣で特筆すべき点は、
- 食器を洗剤で洗ったあと、すすがない(洗剤を落とさない)
- 洗濯は1週間に1回程度(大量にまとめて洗濯する。そして洗濯物を干すことはあまりなく、乾燥機を使う。そのため衣服が傷みやすい。)
といった指摘がよくなされています。これらも、シャワーと同じく、水資源などに対する考え方や生活習慣が影響しているものと思われます。
実は、出発前からすでに留学は始まっています。「モノ」だけでなく、生活習慣も出発前から徐々に準備しておくことが、現地でのストレスを軽減し、ホームシックの予防や現地の人々との円滑なる人間関係を構築する秘訣、となります。
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