日本語教育能力検定試験適性診断

国家資格(登録日本語教員)制度施行後、令和6(2024)年度以降の日本語教育能力検定試験およびその資格としての効果については、こちら『今後、日本語教育能力検定試験はどうなるか 』をご参照ください。

以下は、令和5(2023)年度までの状況をふまえた過去の記事となります。ご了承ください。

 

質問
Q.日本語教育能力検定試験の出願期間は8月までで、そこでギリギリ出願して10月末の試験までは約3ヶ月。その3ヶ月で独学で勉強して日本語教育能力検定試験に合格することは可能でしょうか。

回答
A. 3ヶ月の独学で合格できるかどうか?は、かなり個人差(個人の能力差等)があることなので、一概に誰でも「合格できる」とは言えませんが、3ヶ月の独学で合格できる可能性はゼロではない、とは言えます。実際、少ないながらも、そういう合格者はいらっしゃるようで、ネット上にも、

  • 3か月独学で合格した私のやり方
  • 3か月の独学で受かった私が使ったテキスト
  • 3ヶ月で合格!一発で合格した私の勉強法: 養成講座には行かない!最短で合格!
  • 3ヶ月の独学で検定試験に合格するブログ
  • 検定に3ヶ月で合格した勉強法・合格体験記

といった情報が氾濫していますの。そういう方々のブログやノート、ホームページ等を(嘘か真かは別にして)参考にしてみるのもよいでしょう。

ただ、注意点としては、そういうブログを読んで、「私もできる!」と感化されたとしても、その人とご自身の脳の作りやバックグラウンド(経験値)は異なるので、「自分も絶対に3ヶ月で合格できる」とは思いこまないことです。なぜならそこには(ご自身に則した)何ら客観的な裏付けがなく、根拠がないからです。

自分が3ヶ月の独学で合格できるか?適性を診断する方法

そこで当ページでは、もう少し客観的にご自身が3ヶ月の短期間の独学で日本語教育能力検定試験に合格できるかどうか?を調べられる簡単な方法をご紹介します。

但し、これも個人差があることですので、「あくまで1つの目安」に過ぎないことを予めご了承ください。

現時点で過去問の正解率が30%超であること

「自分が独学3ヶ月で合格できるか?」適性を診断する方法ですが、

 

  1. 日本語教育能力検定試験の過去問題集を手に取ってみて、その中の問題をアットランダムに10問程度、解いてみる。
  2. 10問中3問以上、正解できていれば(正答率30%以上)、3ヶ月の独学でも合格できる可能性が比較的高い

というものです。

日本語教育能力検定試験過去問日本語教育能力検定試験 過去問題集

1についての補足説明ですが、日本語教育能力検定試験の過去問題集は、年度ごとに発売されています。上記リンク先のようにネットでも買えますし、大手の本屋さんであれば書店でも販売されています。

それの、できればなるべく新しい過去問(直近2,3年以内もの)をどれでもいいので手に取ってみて、解いてみるとよいでしょう。本屋さんで立ち読みでもできるかもしれませんが、購入したほうが落ち着いて解けるかもしれません。

もし3ヶ月独学合否の適性診断率を高めたければ、より多くの問題を試しに解いてみることです。直近の過去問を1冊から、多くても直近2,3年分を解いてみれば十分なはずです。

2についての「10問中3問正解」の説明ですが、「まぐれで当たった」ではなく、確信を持って3問以上正解できた、という意味での「3問正解」のことです。

現時点で3問以上正解できる人は、残り3ヶ月みっちり効率的に勉強すれば、現時点での3割正解率を、合格点と言われている7割程度の正解率まで引き上げることは、それほど難しいことではない、と考えられます。

現時点で3問、正解できる人は、日本語教育能力検定試験に対して、

  • 素質(センス)がある
  • すでに知識なり経験がある

と言えるからです。

正答率が40-60%以上ある人は、独学2ヶ月でも合格できるかもしれません。ご自分の中の知識や判断力を、試験に合わせて微調整をすればよいだけだからです。

よく「何ヶ月 勉強すればよいか?」と「時間」が独り歩きする傾向がありますが、何ヶ月かは、結局、今のご自分の頭の状況次第ですので、「〇ヶ月勉強すれば大丈夫」と一律に当てはまるものではありません。1,2ヶ月でも十分な人もいれば、何年もかかる人もいます。まずはとりあえず問題を解いてみて、自分で自分の適性を把握することが第一歩となります。

独学3ヶ月の方法は?

上記の診断方法などで「よし!3ヶ月みっちり勉強して日本語教育能力検定試験合格を目指そう!!」と思ったけれど、何をどうすればいいかわからない人は、以下のような流れになります。

  1. まず出願
    3ヶ月前ということは、通常であれば、もう日本語教育能力検定試験の願書出願期間の締め切り間際ですので、急いで検定願書を本屋さんなどで入手して、まず出願しましょう。
  2. 圧縮して反復学習
    あとはこの12冊の独学で合格した方法などを参考に、市販のテキストを買い込んで、通常6ヶ月以上~1年かけて学習する内容を、3ヶ月に詰め込んで短期集中学習あるのみ、です。

正解率が30%いかなかった人は?

上述のように少し問題を解いてみて、正解率が30%を超えなかった人は、さらに勉強時間を費やす必要がある、ということになります。6ヶ月・・・9ヶ月・・・等々、受験勉強に費やす時間を増量していくだけです。

一般的には、日本語教育能力検定試験は約1年(10ヶ月程度以上)勉強する人が多いです。毎年、1月頃に試験勉強を始める人が多いからです。
→参考:いつ独学を始める人が多いか【日本語教育能力検定試験】

その他の独学合格の適性を見分けられる目安

その他、「独学」に向いている人/向いていない人として、以下のような目安を挙げることができます。

適性がある人

  • 難関大学合格や、資格や免許試験などに独学で合格した経験がある人
    こういう方は目標達成に対して、ご自分のどこを修正していけばよいか?を客観的に把握できる性質および成功体験をお持ちですので、日本語教育能力検定試験に対しても、同様の素養を発揮できる可能性が高いです。
  • 過去問を解いてみて、おもしろくて仕方がない人
    日本語教育能力検定試験の過去問を解いてみて、その問われている内容が「おもしろくて仕方がない」「解いている最中、夢中になった」という人は、適性がありますので、時間をかければ、合格する可能性は高いです。
  • 日本語教師やその他教職を長年経験してきた人
    経験値からその設問が何を問うているのか把握できますので、勉強を始めれば吸収は早い傾向があります。但し、これも個人差があることなので、ただ経験者であればよい、というわけではありません。逆に経験が邪魔をして理解を阻害する(つまり、石頭)ということもあります。経験の中でその方が何を学んできたのかが問われます。

適性がない人

  • 過去問を少し解いてみて、生理的に受け付けない人
    過去問を手に取って、少し解いてみて、チンプンカンプンどころか、内容が生理的に受け付けないような人は、まったく日本語教師には向いていないので、志すのはやめたほうがよいでしょう。万が一、日本語教師になったとしても、ひたすら苦痛で、すぐに辞めることになります。
    日本語教育能力検定試験を3度受けても受からない人(3回 不合格者)も、日本語教師を志すのは止めた方がよいかもしれません。
  • 他人に自分が3ヶ月で合格できるか?尋ねてしまう人(ネット上での質問含む)
    こういう人は、ご自分のことを客観的に把握できていないことの証ですので、3ヶ月の独学での合格は無理です。スタート段階から、この3ヶ月の間に、どの分野が自分が苦手か、どこを克服していけばよいか?等々を、無意識のうちに把握して修正していかなければならないからです。ご自分のことを把握できるのはご自身しかいないので、他人の判断を当てにすることほど愚かなことはありません。無意識のうちに、おしゃべりに安心を求めている人は、通学の日本語教師養成講座のほうが適しています。

まとめ

検定は役に立たない?

日本語教育能力検定試験は合格しても役に立たない、という意見を読んで、受験のモチベーションを落とす人もいるようですが、「役に立たない」というのは、あくまで「知識だけを問う試験であり、実技が無く、教えるスキルが身に付かない」という意味での「役に立たない」のであり、実際は、2023年時点では「書面上の資格」としてはそれなりに役に立つ資格、ではあります。

国家資格(登録日本語教員)制度施行後、令和6(2024)年度以降の日本語教育能力検定試験およびその資格としての効果については、こちら『今後、日本語教育能力検定試験はどうなるか 』をご参照ください。

合格率は関係ない

よく検定の合格率が20%程度なので、それで「難しい試験」と決めつけて最初から意気消沈している方もいらっしゃいますが、日本語教育能力検定試験は「合格者の定員が決まっている選抜試験」ではありませんので、勉強すればするほど合格率は上がります。

極端な話、しっかり勉強した人だけが受験すれば、合格率100%(受験者全員が合格)ということもありえます。
実際、国家資格化の話が出てきてから、直近の日本語教育能力検定試験の合格率は30%近くに上昇しています。その理由は、それなりに知識と経験を持った日本語教育経験者らが、国家資格化に備え、資格の補充として受験する人が増えたことによるものと思われます。
つまり、それなりの人が受験すれば合格する、ということです。

ゲーム感覚で受けてみるべし

以上から、ネット上の風評に惑わされず、最初の検定の適性診断も含め、ゲーム感覚で試験問題を解いていくのも、合格率を高める1つの思考方法としてお勧めします。

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