海外で高校教師

質問
Q.大学を出て以来、そのまま高校教師として勤めておりますが、一度は海外に出て働いてみたいという思いをずっと抱いておりました。せっかく教員として働いてまいりましたので、その経験をいかせるような仕事が海外でもできればと考えているのですが、海外で教師となりますと、現実的にはやはり日本語教師になりますでしょうか?それとも高校教員の海外派遣研修制度のようなものを利用するしかないのでしょうか?在外教育施設派遣教員制度などは倍率が高く、面接その他クリアしなければならない条件は厳しいと聞きました。

回答
A. 教員の海外派遣研修制度などを利用しなくても、海外でも日本の高等学校教員免許がそのまま使え、就職できる仕事はあります。専ら、海外のインターナショナルスクールや日本人学校、補習校、学習塾など日系の学園等での教員となりますが、日本で取得した教員免許がそのまま使えます。その場合、学校が正規ビザをサポートしてくれます。

基本的には、こちらの小学校教諭や中学校教諭免許で海外で働くにはと同じです。

ちなみに弊社にこれまで寄せられたことがある海外の教育機関での高校教諭の募集があった国・地域は以下の通りです。

  • アメリカ
  • オーストラリア
  • マーシャル諸島
  • タイ
  • 中国
  • ベトナム
  • インド
  • インドネシア
  • フィリピン
  • モンゴル
  • 日本を含むインターナショナルスクール、アメリカンスクールなど。その他、台湾やシンガポールなどにも、高校教師とは明記がなくても、広く教員免許保持者を募集している国・求人は少なからずあります。

求人の探し方は

求人情報は簡単に探せます。例えば、弊社に寄せられたものに関しては、

ネット検索
また、「働いてみたい国名」+「日本人学校」「補習校」「塾」「高校教諭」「高校教師」といった検索キーワードの組み合わせでネット検索すると日系の教育機関のホームページが出てきます。

ホームページを総チェック
その各教育機関のホームページやSNSなどに「教員募集!」というようなページがあり、求人・募集情報が掲載されていることもありますので、働いてみたい国・地域の日本人学校等、日系の教育機関をリストアップして、片っ端からそのホームページやSNSをチェックしていくと、求人情報を見つけることができます。

日本での就活と同じ
その場合の就活の要領は、日本での就職活動とほぼ同じで、求人情報を見て、履歴書等を作成し、Eメール(または指定の応募フォーム)で応募する・・・という流れです。

幼小中教諭に比べると少ない

但し、残念ながら、高校教諭に関しては、幼稚園教諭・小学校教諭・中学校教諭よりも、海外での求人数は少ないのが現状です。

その理由としては、学年(年齢)が上がるごとに、日系の子女が(親の駐在が終わるなどして)日本に帰国したり、現地の高校等に進学したりするようになるためです。

高校教師の需要

そのため、海外で日本の教員免許の需要としては、

幼稚園教諭 > 小学校教諭 > 中学校教諭 > 高校教諭

と学年(年齢)が上がるごとに少なくなっていきます。

逆に言えば、高校教員免許以外にも、小学校教諭免許等をお持ちでしたら、海外で働ける機会は増えます。

免許の種類等に応じて、下記の各ページにカテゴリー毎に求人はまとめられています。

なぜ日本の高校教諭免許が使えるのか

なぜ海外なのに、日本の教員免許がそのまま使えるのか?というと、それは現地において、日本人の子女に「日本の教育」を提供することを目的として設立された教育機関だからです。海外現地ならではの特徴を取り入れながらも、日本の文科省の指導要綱にそった教育をおこなう必要があるので、日本の教員免許保持者が必要となります。そのため、ビザも取得しやすい傾向があります。

これが日系の教育機関ではなく、現地の小中高校となると話は別で、現地の小中高校で働くには、そこで働く現地国籍の先生方と同様に、現地の大学にて教職課程を取るなどして採用されなければなりません。もしくは、短期的・期間限定的な教員の海外派遣研修制度を利用するぐらいしかありません。

日本語教師よりビザが取れやすい

また、日本語教師ですと、特に欧米圏では日本語教師だけではビザが下りないことが多いですが、日系の教育機関での教員募集の場合は、日本人で日本の教員免許保持者でなければならないため、正規の就労ビザがおりやすい、という利点があります。

特に欧米圏においては、日本語教師として職を探すより、日本の教員免許が使える職を探したほうが、仕事を見つけやすいケースが多いです。

待遇は?

外国人が運営する現地の語学学校などは、大雑把な〇〇人の採用担当者が、自信過剰気味に案内するため、いざ採用の手続きが進むと、ビザ申請ができなかったり、現地の環境や待遇が事前説明とまったく違っていたり・・・とトラブルが多発することは珍しくありません。

それと比べると、日系の教育機関なので、待遇や採用過程のやりとりの確実性・信頼性はそれなりにあります。
給与等に関しては、最低でも現地の生活に困らない程度が支給され、寮などの滞在先が無償または格安で提供されることが多いです。

契約期間は1年ないし2年毎でその後も勤務態度等により更新可能できることが多く、場合によっては日本との往復航空券が支給されることもあります。

渡航前から就職先が決まっているので、現地で時間を無駄にするリスクもなく、よほど無駄遣いをしない限りは、海外に出たからといって貯蓄が大きくマイナスになることは少ないでしょう。この「勤務先が確保できている」という点が、留学やワーキングホリデーなどと大きく異なる点で、教員として働きながら、留学的な経験も積めるというメリットがあります。

その他あるとよい資格・スキルは?

語学力

高校教員免許で海外で働く場合、外国語力(英語圏なら英語、中国なら中国語)が採用段階で求められることは少ないです。日系の教育機関にて、日本人を相手に日本語で教えることがほとんどだからです。

但し、勤務先がインターナショナルスクール附属の小中高校などの場合は、各国から集まった教師が働いていますので、職員室での共通言語は英語になることが多く、英語力(またはその勤務先の国の母語力)が求められていることもあります。

また、職場で外国語を使わなかったとしても、海外で暮らしますから、当然、日常生活においては、その国の言語ができるに越したことはなく、語学力があるほど、その国での生活は楽になっていきます。

ミニトーク
ミニトーク T8 PRO

海外のお供に心強いオンライン自動翻訳機。翻訳精度は98%近いという優れもの。
英語は自分でなんとかできるけど、それ以外の言語がおぼつかない・・・という方のために、203ヵ国106言語対応なので、いざという時の助っ人になります。カメラでメニューなどの文字を読みとって翻訳してくれる機能も付いています。

日本語教師としてのスキル

せっかく海外に行って教師をするからには、「外国人に日本語を教えたい」と心底では願っている人も多いでしょう。また、現地で生活して地域の人々とのつながりが増えてくると、「日本に関心がある。日本語を教えてほしい。」と頼まれることもあります。

どうしても日本語教師をやってみたい人などは、平日(月曜~金曜日)はフルタイムで日系の学校で高校教師として働くことでビザは確保し、土日は日本語教師として現地の語学スクールでパートタイムで日本語を教えてみる、という選択肢もあるかもしれません。

高校教員が日本語教師を目指すことの優位性
高校教師が日本語教師を目指す(または兼ねる)ことの優位性としては、幼小中校教諭と違って、大学受験対策も教えられる点が挙げられます。外国人の日本語学習者の中には、日本の大学進学を考えている人も少なくありません。そのため、日本の大学入学を視野に入れてEJU(日本留学試験)の勉強をしている外国人もおり、特に理系科目を教えられる高校教師は重宝される傾向があります。

そんな需要に応えるために「日本語を教えるスキルを学ぶもの」として役立つのが日本語教師養成講座なのですが、そもそも海外では日本語教師養成講座がほとんどありません。そのため、日本語の教え方を独学で学んだり、海外でも受講できる通信教育の日本語教師養成講座などで、現地で働きながら学んだりする、というのが現実的な方法になります。

実際、こちらの体験談や受講動機のように(→)海外移住を目指して日本語教師養成講座を受講したり、現地で教える必要に迫られて日本語教育を通信で勉強し始めた方などもたくさんいらっしゃいます。

以上となりますが、語学力はもちろんのこと、関連する資格やスキルはたくさんあるほど、現地での可能性や活躍の場は広がっていきますので、「海外で働いてみたい」という願望がある方は、日本にいるうちからいろいろ備えておくとよいでしょう。海外就職のチャンスは突然、やってくることもあります。